INTERPRETATION

「一時帰国 」

木内 裕也

Written from the mitten

この記事がWritten from the Mittenにアップされる頃には、私は機上の人。7月から約1ヶ月間の一時帰国を終え、8月末に始まる新学期に備えてアメリカに戻ります。数ヶ月前の予定では、5月中に帰国する予定でしたが、現地で教材開発のチームに入ったため、帰国が7月までずれ込み、短めの夏滞在となりました。それでも、色々な思い出の残る一時帰国でした。

 帰国するたびに「本当にありがたい」と感じるのは、「○月○日に日本に戻ります」と連絡をすると、すぐに通訳の依頼をいただけること。時には帰国翌日のお仕事の依頼があることもあります。今回も、1日に対して複数案件の依頼をいただいた日を含め、大きなセミナーや会議から企業内のミーティングまで、様々な職種の案件を担当することが出来ました。どうしてもアメリカにいると大学で教えることが中心になりますし、案件の数も日本より少ないですから、こちらにいる時ほどは、通訳の機会はありません。久しぶりにアカデミックモードから、通訳モードに切りかわった生活も新鮮でした。

 群馬県への遠征も含め、地元の少年サッカーのお手伝いもすることができました。アメリカではプロリーグなど高いレベルの審判を担当している分、なるべく日本にいる時は地元の少年サッカーに、自分の経験を伝えたいと思っています。また、アメリカやヨーロッパと頻繁に行き来している人と近くにいることで、子供たちにとって諸外国の存在が近くなればとも思っています。そんな点でも、有意義な時間を過ごすことができました(ただ「子供たちとサッカーをしたい」という単純な理由もありますが)。

 久しぶりに家族や友人とも時間を過ごすことができました。残念ながら、タイに住む叔父とはタイミングが合わず、会うことができませんでしたが、大学時代の友人に会ったり、小学校のミニ同級会を開いたりもしました。

 このように、限られた時間の中で色々なことをしようとした結果、ほとんど家にいる時間が無かったのも事実。本当は、もう少しゆっくりと読書もしたかったし、抱えている約500ページの出版翻訳も日本にいる間に終らせるのが目標でした。残念ながら、読もうと思って持ち帰った本は、3冊か4冊は読めずにアメリカに持ち帰ることになりそうです。翻訳案件は締め切りには間に合わせますが、もう少し余裕を持って訳を終らせたいと思っていました。

 日本に帰ってくると、アメリカとの生活リズムの違いを感じます。これは先ほど述べたとおり、アメリカではアカデミック中心の生活を送り、日本では通訳中心の生活を送るため、単純に日米の違いとすることはできません(例えばウォールストリートで働いていれば、日本とかなり似た生活を送るでしょう)。しかし、案件の集合時間の10分前に会場入りができるように、時刻表を調べて向かうのではなく、場合によっては45分前くらいに到着するように、大体の時間を見計らって家を出発するといった違いです。そして、会場の近くにあるコーヒー屋で好きな本を読んでから、会場入り、するといった風に。ただでさえ、早い集合時間だと、現地の近くで本を読むために早起きするのは辛いですが、一度目を覚ましてしまえば、かなり気持ちに余裕を持って行動ができると感じました。ラッシュアワーが始まる前の電車に乗れば空いていますし、仕事の前に好きな本を読むことで、リラックスして仕事を行うことができます。

 アメリカに戻ると、ニューヨークとボストンで数日過ごし、その後、ミシガンに向かう予定です。新学期の開始は27日。どんな学生が集まるのか、今から楽しみです。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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