INTERPRETATION

「引越し」

木内 裕也

Written from the mitten

昨年の8月末にボストンからニューヨーク経由でミシガンに引っ越してきましたが、学年末を迎えて新しいアパートに引っ越すことにしました。今まで滞在していたのは一人暮らしの研究者向けの寮で、非常に狭いのが難点でした。ベッドメーキングから部屋の掃除までしてくれて、1階には食堂もありとても便利でしたが、ビジネスホテルの1室に住んでいるようなもので正直なところ息苦しく感じることもありました。引越し先としては大学が経営しているアパートと、民間のアパートの2つの選択肢がありました。前者のプラス点はキャンパス内にあって交通アクセスがいい点。しかし家賃が高めです(光熱費やケーブルテレビ代などすべて込みのため)。後者のプラス点は家に帰ると大学の環境から離れることができるてん。マイナス点としてはキャンパスから少し離れてしまうこと。光熱費などを考えると特に出費の面での差は無く、キャンパスから離れても独立した環境に住みたいか、常に大学の環境内に住んでも便利さを求めるかの選択となりました。

 そして結局大学経営のアパートに決めました。近くに友人も何人か住んでいますし、何かの不都合が発生しても大学が責任を持って対処してくれます。わざわざ電話会社やケーブルテレビの会社に連絡をしてサービスを開始してもらったり、毎月光熱費を払う必要もありません。というわけで、約2週間前にキャンパス内のアパートに移住してきました。

 キャンパス内といっても3キロ以上離れています。洋服などの量は少ないですが、本が大量にあり、また本棚や机も移動しなければなりませんでした。いつもの買い物などは愛車ホンダCivicだけで間に合うのですが、今回ばかりは友人にお願いをして引越しを手伝ってもらいました。また本棚は5つ新調しました。今までは本が入りきらず、縦横無尽に本棚に詰め込まれていましたが、今では余裕を持って整頓されています。

 私が引越しをした日に友人が大学のアパートを引き払い、彼女からソファーベッドを2つ安価で譲ってもらいました。1つは私のベッドとして使い、もう1つはリビングにおいてあります。来客用のベッドにもなりますし、普段は読書をしたり、TVを見たりするのに役立ちます。

 そして新しいアパートの最大の特徴はキッチンがあること。これまではカフェテリアがあったため、キッチンはついていませんでした。最初は料理の手間が省けて楽でしたが、1日3食をカフェテリアやファーストフードで済ませていると、食事の内容が毎日似てきます(胆嚢摘出はそのせい?)。引越しを済ませてすぐ、食料品を買い出しに行って来ました。とは言っても別に料理が得意なわけでも、上手なわけでもありません。また料理というほどの料理ができるわけでもありません。お米、朝食用のベーグルやソーセージ、卵、そぼろを作るためのひき肉、最低限の調味料などを購入しました。料理をしながら日本の家族にメールをし、日本から遠隔操作してもらいながら料理をしているのが本当のところ。まだキッチンを最大限に利用しているとはいえません。

 近いうちにはBreak-in Partyと呼ばれる簡単な集まりも企画しています。友達を集めて、新しいアパートの紹介です。数週間前のようにBBQをするのもいいですし、楽しいひと時を過ごせるはずです。

  まだ一部の荷物はニューヨークに置いたままですが、とりあえず整理がつき始めた私の新居の写真をご紹介します。日本風に言えば、「近隣にお越しの際は、是非お立ち寄りください」です。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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