「学年末を迎えて」
アメリカの教育機関では9月に新学年が始まり、5月に学年末を迎えます。ミシガン州立大学(MSU)でも先日、春学期が無事に終了しました。私は4月下旬から5月上旬にかけて5つの論文を提出し、教えている学部の授業では期末試験を行いました。インターネットのニュース速報で日本の情報を見ていると、「ゴールデンウィークがうらやましいなあ」と思ったりしましたが、逆に学年末を迎えた今、多くの学生は8月末まで夏休みです。私は後に述べるとおり、夏の間のプロジェクトにかかわっているのでまだまだ夏休みは先ですが、私の教えた学生の多くはすでに実家に帰省したようです。
9月に秋学期が始まってから約9ヶ月、これで博士課程の1年目がほぼ終了しました。その間5つの授業を履修しました。専門分野であるアフリカ系アメリカ人の歴史や社会に関する授業です。担当した学部の授業も無事に終了しました。学生からの教員評価も比較的プラスで一安心です。学会もサンフランシスコ、サンディエゴ、ボルティモア、ボストンなどで出席しました。デトロイトとボストンで行っている研究も順調に進んでいます。修士号取得後に約5年で博士号を取得するのが平均的なMSUのアメリカ研究プログラムですが、このまま行けばあと2年で卒業することが可能です。
先ほど夏のプロジェクトと書きましたが、夏学期として大学は授業をしています。同時に秋学期の授業に向けての準備を行う時期でもあります。最新の情報を学生に提供し、学習効果を最大限に高めるには、夏の間にリサーチを行い、秋までにカリキュラムを確立させなければいけません。私は今年の秋学期に昨年と同じUS and the Worldという名前の授業を担当します。今までは90分の授業を週に2回行い、50分のディスカッションを週に1回行う形でした。しかし秋からは授業時間を1回60分に短縮し、毎週60分のオンラインアクティビティーを行うことになりました。
新しい教科書を使うべく、出版社からExam Copyと呼ばれる教員用の無料サンプルを取り寄せ、吟味しました。またPod Castingなどを利用して学生にとって魅力ある授業を行う計画もあります。実際に授業を履修した学生を数名集めてのインタビューも行い、何が役に立ったか、何が理解しにくかったかなどを確認しました。US and the Worldというアメリカ社会とグローバル化を扱う授業の中で、ヒップホップなど学生にとって身近な文化が日本を含め海外でどう見られているかなど、やはり自分達の生活にかかわった内容に興味があるようです。また「アメリカの常識は世界の非常識」のような内容にも興味を示していました。
この授業は歴史の授業とは違って、学生に対して事実を教えることを目的としてはいません。アメリカと世界について考える道具を提示し、グローバル化を自分達の生活と照らし合わせるきっかけづくりが目的です。学生によってはグローバル化をプラスに考える人も、マイナスにとらえる人もいます。より批判的、建設的な目で社会を見られるような授業を夏の間に作るのが目標です。
いつもは学生でにぎわうキャンパスも、今は静か。夏学期は来週まで始まらないので、キャンパスにいるのは職員と教員がほとんど。写真のとおり、どこかの公園にいるかのような錯覚に陥ります。
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