INTERPRETATION

「ついに春がやってきました」

木内 裕也

Written from the mitten

昨年10月上旬に初雪を観測したミシガン州East Lansing市も、ついに春を迎えました。3月末から少しずつ気温が上がる日が出始め(積雪もありましたが)、4月中旬くらいから気温が安定するようになりました。外を歩く人の服装も、冬用のコートからフリースになり、トレーナーになってここ数週間はTシャツです。

せっかくの春、そして好天を楽しもうと、先日は友達とBBQを企画しました。ゴールデンウィークのように休みがあるわけでも、近くにBBGができる川原があるわけでもありませんので、ある週末を利用して、友人宅脇の芝生スペースで行うことに。企画をしたのは「明日の最高気温は25度を上回ります」と耳にした土曜日の夜。急いでEメールを送り、翌日、日曜日の午後5時にスタートとしました。急な計画であったにもかかわらず、10名近くの友人が集まり、楽しいひと時を過ごしました。1枚目の写真にあるように、まだ1歳にならない娘を連れてきた友達も。さすがに一緒にBBQを食べるわけにはいきませんでしたが、皆の関心を集めていました。主催した友人は一生懸命に鶏肉をBBQ。写真にあるような大きなグリルが各家庭に1台あるのが、なんともアメリカです。室内のグリルで焼くよりもおいしいから、と多くの家庭で大人気です。そしてBBQのソースは各家庭のお気に入りがあります。市販のソースでも複数をミックスしたり、「絶対にこのブランドのソースでなくては!」というこだわりもあるようです。

アメリカ人は友達を自宅に招いて簡単なパーティーをする、というステレオタイプが日本にはありますが、実際、非常に気楽に友人を招待して食事をします。特に豪華な食事を用意するわけでもなく、普段の食事の量を増やす程度の感覚です。グリルの写真にあるように、今回のBBQも招待してくれた友人は大量の鶏肉を準備してくれました。それ以外のサラダ、飲み物などは皆で持ち寄りました。招待される者もデパートや和菓子屋でお土産を買うのではなく、自分で作ったサラダ、スーパーで安売りだった牛肉、ペットボトルの飲み物を3本といった風にそれぞれ色々なものを持ち寄ります。したがってお互いにあまり負担にならず、ワイワイと楽しい時間を過ごすことができます。

当日のBBQは食事が終わると、プラスチックのバットを利用した野球が始まりました。友人の8歳になる男の子が野球セットを持ってきていたので、それを使うことに。どんなに強く打っても15メートル以上は飛ばない穴の開いたボールを使ったゲームです。それが自宅の脇にある駐車スペースでできるのも土地に余裕がある郊外のアメリカの利点。日本のBBQではキャッチボールやサッカーのパスをしている光景を目にしますが、アメリカでは当たり前のように野球です。サッカーをするなら、アメフトのパスをするほうが頻度は高いでしょう。

このように春の気候を利用して楽しい夕方を過ごしましたが、ミシガンの春はとても短いです。4月中旬に15度を越すようになり、5月は20度程度。6月になると一気に夏の様相を呈してきます。真夏でも東京と比べると気温も湿気も低いですが、こちらに住んでいる人にとっては25度を超えるようになると「うだるような暑さ」だそうです。その基準に照らし合わせてみると、春もあと1ヶ月程度。梅雨がないので、いつから夏になるのかはっきりしませんが、1年の半分が冬のミシガンにも遅い春が訪れました。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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