INTERPRETATION

「アメリカ7不思議 Part1」

木内 裕也

Written from the mitten

 アメリカとは不思議な国です。世界中がサッカーのワールドカップに熱狂しても、アメリカ人は結構冷めたまま。でもフットボールになると大騒ぎ。ヨーロッパで大人気の自動車レース、F1。これもアメリカ人は無関心。でもNASCARといって自分たちだけのレースを組織して応援しています。そんなアメリカの7不思議を2週間にわたってお伝えしたいと思います。

・トイレ

プライバシーを尊重するはずのアメリカ。日本の温泉や銭湯は恥ずかしくて仕方がない、と言います。しかし、アメリカにいらしたことのある方はご存知のとおり、トイレのドアは地面から数十センチも開いています。そして蝶番が外れかかっていることも。中を見るつもりがなくても中が見え、手を洗っていると鏡に映る誰かの足が目に入ります。安全のためだそうですが、日本のようにドアの下の隙間が数センチしかない環境に慣れていると、どうも落ち着きませんね。プライバシーを優先するか、安全を優先するか。現実的にトイレの個室で多くの犯罪が発生している国ならではの問題ですね。写真をご覧ください。ドアの足元が結構あいていますよね。

・服装

街中を歩いているとTシャツ1枚の人がいると思えば、コートを着ている人を見かけたりします。ある意味でニューヨークの名物とも言えますが、見た目だけではその日の気温がわかりません。時にはフードつきのトレーナーを着ているのに、なぜかハーフパンツにビーチサンダル、という格好の人に大学構内で出会うこともあります。これはその理由がわかりません。トレーナーを着るなら長ズボンにすればいいのに……

・ジム帰りのマクドナルド

アメリカ人ほど健康志向の国民はいないかもしれません。多くの人がジムの会員となり(通っているとは限らない)、自宅でできる健康器具が飛ぶように売れています(使っているとも限らない)。「今日の夜はジムに行かなくちゃ」という会話を耳にすることが多々あります。しかしとても不思議なのは、ジム帰りの人がマクドナルドに寄っているとき。「せっかくカロリー消費して、健康にいいことしたのに」と思わざるを得ません。そんな人に限って、飲み物には気を使ってダイエットコーラ。でも食べ物がダブルチーズバーガーやビッグマックなんですよね。ここのところ、アメリカの食生活に関する本がたくさん出版されています。また、トランスファットが体によくない、ということでNYCのレストランがいっせいに使用禁止を表明したりと、食に関する話題が豊富なのもアメリカです。そしてスーパーに行けば、牛乳を買うだけで通常の牛乳にはじまって、2%、1%、スキムミルクなどなど、何種類も並んでいます。

・信号無視

アメリカだけではないですが、歩行者の信号無視が多い。普段は東京に比べるとゆっくりした生活をしている地方の人々も、なぜか赤信号は待てないようです。警察官だって注意はしません。逆に日本人は車が来ていなくても、信号が緑になるまで待ちますよね。かつてアメリカから一時帰国中に歩行者として信号無視をし、警察官に呼び止められたことがあります。「青信号でも車が来ていると危険ですが、赤信号でも車が来ていないのを確認すれば安全ですよ」と笑顔で言ってから「しまった」と思ったのは言うまでもありません。逆に日本からアメリカに戻ると、1人で信号が青に変わるのを待っていたりします。

来週に続きます。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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