「アカデミックな仲間達」
読書好きな人にとって、本屋を回ったり、Amazonなどオンラインの本屋で買い物をしたりするのは非常に楽しいひと時でしょう。私もその1人です。しかし「この本、面白そうだから買おう」と思って買っただけで、なかなか読む時間が無いこともあります。そんな時、間違って同じ本を後日買ってしまった経験のある人はいませんか? 私はそんな間違いを、先日してしまいました。私の研究仲間もよく、同じような勘違いをしてしまうことがあるようです。そんな時はその本を返品すればよいのですが、一緒に研究をしている友達は気に入った本であれば、あえて返品はしないようです。そのかわり、友達でその本に興味がありそうな人がいると、プレゼントをします。私の友人もそんな経緯で、数日前に1冊の本をプレゼントしてくれました。古本屋で間違えて同じ本を買ってしまったといいうことでした。私も先日間違えて購入した本は、別の友人にプレゼントしました。この様な形で、非常にアメリカの大学院生や研究者は自由に情報の交換をしています。
同じように面白い論文や新聞記事に出会うと、メールで紹介もします。ハーバードやMITといった日本でも有名な研究機関で教えている先生から、小さな大学院で研究をしている人まで、仲間のネットワークが張られています。また、CFPと呼ばれる論文募集の情報なども、1日に数十通のメールで届きます。しばしば大切なのはWhat you know(何を知っているか)ではなく、Who you know(誰を知っているか)である、とも言われます。日本だとややマイナスに捉えられがちですが、ネットワーキングや自己の売り込みが非常に肯定的に捉えられています。
大きなホテルで開催される学会に行くと、場合によっては数百人という数の研究者が集まっています。そこで気のあった仲間や、似た研究テーマの仲間を見つけ、1日の会議が終わった後にホテルのバーに繰り出す姿もよく目にします。そのような場で「次の論文集に論文を投稿してくれないか」とか「うちの大学で教員を募集しているがどうか」といった話が行われます。「国連の重要決議案を左右するもっとも重要な話し合いは休憩時間のトイレで行われ、英語の不得意な日本人は不利だ」ということを耳にしたこともありますが、なかなか打ち解けることが苦手な日本人には難しい環境かもしれません。
今年の夏に博士号を取得して、秋からウイスコンシン州立大学で教えることになった友人も、ネットワーキングの重要性を語っていました。彼は200人の候補者の中で、1つの教員枠を勝ち取ったのですが、「自分が他の候補者より優れていたとは全然思わない。でも、数年前の学会でウイスコンシン州立大学の教員と一緒に論文を発表したのが大きかっただろう」と言っていました。そう考えると、アメリカ研究の学会とは言え、日本から来る発表者が仲間同士だけで固まっているのを見ると、とても残念な気がします。もっと積極的に他の輪に入れば、きっと色々な機会も巡ってくるでしょうし、自分からも色々な人に機会を提供できるはずです。もちろん言葉も大切ですが、輪に飛び込む勇気がもっと大切なのかもしれません。
-
国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!
-
オリンピック通訳
-
英語のツボ
-
教えて!通訳のこと
-
【人気会議通訳者が教える】Tennine Academy
-
通訳者インタビュー
-
通訳者のひよこたちへ
-
ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!
-
通訳者のための現場で役立つ同時通訳機材講座
-
通訳者になるには
-
Training Global Communicators
-
忙しい人のためのビジネス英語道場
-
やりなおし!英語道場
-
Written from the mitten
-
通訳者のたまごたちへ
-
通訳美人道
-
マリコがゆく
-
通訳者に求められるマナー
-
通訳現場おもしろエピソード
-
すぐ使える英語表現
-
Bazinga!
-
通訳式TOEIC勉強法
-
American Culture and Globalization
-
中国語通訳者・翻訳者インタビュー
-
多言語通訳者・翻訳者インタビュー