INTERPRETATION

「 役に立つ英語表現 」

木内 裕也

Written from the mitten

 日本人は英語学習が大好きです。様々な国の人が色々な理由や目的で英語を学習していますが、日本人ほど英語学習の好きな国民はいないのではないか、と思うほど本屋には英語関連書籍が並び、駅前には英会話スクールが存在しています。その成果か、日本人英語学習者は、ネイティブスピーカーさえもあまり使わないような難しい単語を、日常生活の中で使うことがあります。一生懸命単語帳をみて覚えた単語かもしれません。

 しかし日常生活でよく使われる表現や単語に弱いのも日本人学習者の特徴。そこで今日は「アメリカに1週間滞在すれば1度は耳にするけど、日本人があまり知らない表現」を10個まとめてみました。

1) ditch / stand up

Ditchと聞くと「排水溝」や「溝」を想像しがちですが、動詞で使うと「サボる」とか「(約束に)現れない」という意味になります。「ドタキャン」という意味にも。だから「じゃあ、明日の7時に会おう」と言いながら友達がその場に現れないと、その後メールで”You ditched me yesterday. What happened?”と理由を求めたりします。また、ditch the policeと言えば、「警察の追跡から逃れる」となります。似た意味でStand Upという熟語も。”She stood me up.”といえば、待ちぼうけをくった、ということ。デートの約束に現れない相手によく使う表現です。映画You’ve Got Mailでも使われていました。あまりフォーマルな表現ではありません。

2) pop

多くの日本人はペプシでも「コーラ」と呼んでいますが、炭酸飲料をまとめてSodaと呼びます。スプライトもファンタもSoda。しかし地域によってはPopとも言います。アメリカ中西部の人はもっぱらPop。北東部はSodaです。きっと日本人にとって「ソーダ」は聞き覚えがあるでしょうが、Popはあまり馴染みがないでしょう。

3) fall out of love

バレンタインも近い2月。LoveはFall inするだけではありません。恋が冷めてしまったら、fall out of loveです。表現の流れとしては、I fell in love with her/him. a I am in love with her/him. a I fell out of love with her/him. ですね。

4) sketchy

「何となくあやしい」という気持ちを表す言葉。Fishyという単語に似ています。Sketchy reportというと、何となく適当で信頼性が低い報告。Sketchy mealといえば、適当に寄せ集めで作った食事。これもあまりフォーマルな表現ではありませんが、比較的よく使われます。「クレジットカードに問題があるので、以下のアドレスにカード番号を送ってください」というようなあやしいメールもSketchyです。

5) trashed

get laidとも言いますが、He is trashed.といえば、とても酔っ払っている様子です。ただ単にDrunkと言っただけでは表現できない、どうしようもない様子を見事に表す単語。逆にI feel tipsy.といえばほろ酔い程度。I got trashed last night.と頭を痛そうにしている学生が、毎週1人は私の教える授業にもいます。

6) insulated

Insulationという単語は「断熱材」や「絶縁体」という意味でよく使われる基本単語。しかしShe/He is well insulated.というと「厚着をしている」という意味になると同時に、やや体重過多の様子を指します。要するに、「肉で断熱している」というイメージ。やや体重を気にしている人が、自分で自分のことをI’m well insulated.と言っているのを何度か聞いたことがあります。

7) layer

「厚着する」という意味でよく使われるのがこの動詞。Layerというと「層」という名詞を思い浮かべますが、Make sure you layer yourself tomorrow.と天気予報で言っていたら、翌日は寒くなります。何層にも洋服を重ねましょう、というイメージです。

8) all set

色々な場面で使える便利な表現。マクドナルドで注文する時に言われたら、「どのメニューにするか決めましたか?」の意味。「万事順調」とか「問題なし」の意味です。注射を受けた子供の母親に医者がHe’s all set.といえば、「もう大丈夫ですよ」となります。

9) second

Secondは「2つ目の」とか「秒」という意味が一般的ですが、「賛成する」という意味にもなります。I want to second what he said.と言えば「彼の意見に賛成」。I second that.と言って、その前の発言に賛成の意思を示すこともあります。最近はブログ上でも誰かの意見に対して、I second that.と書かれているのをよく目にします。

10) I’m sorry

とっても基本的な表現ですが、「ごめんなさい」だけではなく、同情や思いやりの気持ちを表すときにも使えます。友達に不幸があったり、怪我をしたりした時にどう声を掛けたらいいのかわからなくなります。そんな時はとにかく”I’m sorry.”この一言で気持ちが楽になるものです。

今回はよく使われる表現を10個紹介してみました。英語学習において落とし穴となりやすい基本的な表現の数々です。今週の写真は冬のアメリカ。2枚目の写真で車が埋もれているのがわかりますでしょうか? まだまだ寒さの続くアメリカです。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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