「経済不況?」
現在のアメリカは、どこに目を向けても「経済不況の影響で……」という言葉か聞こえてきます。ちょっと前までは「ガソリン価格の高騰が……」という枕詞が蔓延していましたが。1ガロン2ドルを切るようになり(4ドルを超えたこともありました)、話題性がなくなったのかもしれません。今年の9月にリーマンブラザーズが問題を抱え、アメリカ連邦政府の救済措置を求めたことが、そもそもの経済危機の始まりとも言われています。今週は、そんな経済危機が一般アメリカ人の生活にどのような影響を与えているのか、考えてみたいと思います。
11月上旬にオバマ大統領が選挙に勝利したのも、今回の経済問題と影響があります。もちろん、ブッシュ政権が連邦赤字を増やしたなどということもありますが、9月の段階でマケイン候補とオバマ候補がいかに金融危機に対応したかが、勝利の分かれ目になった、という見方もあります。マケイン氏は選挙活動を「中断(実際には中断していなかった、という見方もあります)」して、問題に取り組みました。逆にオバマ氏はどちらかといえば静観していました。対応策を求めたマケイン氏の評価が上がりそうなものですが、実際には「アメリカの経済基盤は確固たるものである」と言った翌日に、「経済危機が訪れた」と発言し、国民にマイナスの印象を与えてしまいます。多くの分析家は、この時点でオバマ氏のリードが一層強まった、と考えています。
感謝祭の翌日はBlack Fridayと呼ばれるクリスマス商戦のスタートです。早朝から大売出しが行われるのですが、今年は客1人当たりの売り上げが低迷したという報道があります。いつもより安価な商品をプレゼントに選んだ結果でしょう。例年通り店舗の前には朝4時前から行列はできていたようですが(私はもちろん寝ていました)、財布の紐はかたいようです。
数週間前の投稿では、来年の秋から教える大学を探している、と書きました。そこでも経済不況の影響が出ています。11月から春にかけて、各大学の来年度予算が出る時期です。秋の段階では新しい教員の雇用を予定していた大学が、結局予算が通らずに募集を中止する、ということが頻繁に行われています。私の手元にも、「大変残念ですが、予算が認められなかったため、来年度の募集を中止することになりました」という手紙が何通か届いています。また、報酬を低く抑えるために、終身雇用契約の教員を今後数年間にわたって採用しないことを決めた大学もあります。自動車業界などの問題が頻繁に話題に上りますが、学術機関も影響を受けています。
友人の父親は自動車業界でエンジニアをしていましたが、数ヶ月前に職を失いました。その結果、父親も娘たちも健康保険を失い、私の友人は腰を痛めたのですが、病院に行けずにいました。またボストンで仲の良かった友人も、突然解雇を言い渡され、翌日には職探しを始めざるを得ない状況にありました。
この状況は来年も続くようですが、様々な人が、様々な形で影響を受けているのは確かです。
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