INTERPRETATION

キャリアフェア

木内 裕也

Written from the mitten

 先日、ミシガン州立大学のキャンパスでキャリアフェアが行われました。これは日本の就職活動に近いものですが、大学のキャンパスに企業の人事担当者が集まり、学生が興味のある会社のブースを訪れます。ミシガン州の外ではあまり知られていない小さな企業から、フォーチン誌に出るような有名企業まで、数百社が集まります。キャリアフェアは分野ごとに行われるので、人文科学系のフェアに参加する会社と、工学系のフェアに参加する会社では大きな違いがあります。

 フェアのイメージとしては、トレードショーや展示会などに似ているでしょう。ミシガン州立大学ではバスケットボールが行われる大きな施設などで開催されます。それぞれの会社はブースをもうけて、テーブルに関連情報の書かれた資料を置きます。学生にとっては各企業について学ぶ機会であると同時に、場合によっては履歴書を人事担当者に渡すこともできます。私の知り合いは、担当者に履歴書を渡した際、担当者から簡単なテストをされたと言っていました。友人は機械工学科の学生で、担当者からすでに授業で学んだと思われる公式を使った問題を解くようにいわれたそうです。この様な情報を元に、企業はより優秀な学生を雇用とします。フェアの後も数日間は企業の担当者は大学にとどまることが多くあります。優秀と思われる学生と面接の予定を立て、1対1で話し合いを行います。

 フェアでは学生が卒業した後の就職先だけではなく、夏休みのインターンシップ先も見つけることができます。私の友人も昨年、フェアを通してインターンシップを見つけていました。インターンシップを行うことは、卒業後の就職にもつながります。例えば、ミシガン州西部に電力を供給する電気会社で2年間インターンをした友人は、先日会社の担当者から卒業後の計画を尋ねる電話をもらったと言っていました。キャリアフェアの会場では、このようにすでに特定の企業で経験を持っている学生が、どこのオフィスでいつから仕事をはじめるかと言った、詳細に渡る会話もなされていました。

 しかし全体的な印象としては、日本よりもカジュアルな雰囲気で、会社説明会といったイメージです。質問も企業側が学生に対して行う面接形式よりも、学生が企業に対して様々な質問をするのが主流です。だからといって学生に有利な経済状況なわけではなく、就職難の現実があります。主たる目的が「学生に情報を与えること」と明確化されているのでしょう。もちろん、このフェアを通して就職先が見つかることもありますが、あまりそこまでプレッシャーを感じているような学生は多くありませんでした。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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