INTERPRETATION

親戚集合

木内 裕也

Written from the mitten

 先日、友人に誘われてミシガン州の北東部にあるRuthという街に行ってきました。かつてからこの街は東西に走る道が1本、そして南北に走る道が1本、それが交差するところに点滅信号が1つあるだけ、とその様子は聞いていたのですが、私の住むランシングから車で約2時間半走った先は、周囲のどこを見ても地平線がよく見える場所でした。そこで友人の母親側の親戚が一同に集まるイベントがありました。日本でだと「親戚会」とでもいうのでしょうか。年に1度、7月の最終土曜日に行われるこの集まりには、友人のおばあさんの兄弟を筆頭とし、その子供、孫を通した親戚50名以上が集まりました。誘ってくれた友人ですら「誰か知らない」「初めて見た」という人もいる状況。私もこれまでにキャンプなどのイベントであった人が何人かいた程度で、ほとんどは知らない人々でした。相手側も、「一体この人は誰だろう?」という様子でこちらを見ていて、自己紹介をするもののあまりに人数が多く、全員を覚えることは到底できませんでした。

 集まりはコミュニティーセンターのようなホールで行われました。皆、サラダやホットドッグ、ハンバーガーの肉などをそれぞれ持ち寄り、私を含む数名で外にあるガスグリルで料理をしました。12時に食事を初め、5時過ぎまで食事をしたり、飲み物を飲んだりしながら、人によっては1年ぶり、時にはそれ以上の再会を楽しんでいました。

 この様な親戚の集まりは、私の友人の家族は定期的に行っているようです。この前の週末にも別の集まりがありましたし、9月上旬には地域の集まりを利用してやはり親戚一同が集まります。私も誘ってもらっているので、週末を利用して友人と向う予定です。親戚の多くはRuthやその周辺に住んでいるようですが、中にはシカゴに住んでいる親戚もいて、片道7時間くらいかけて来るようです。

 日本だと丁度今のお盆の季節や、年末年始の帰省が中心。必ずしも友人の家族と同じように親戚の集まりを行っている家族ばかりアメリカにいるわけではないでしょうが、クリスマスや感謝祭などに加えて、このようなイベントを行うのもきっと家族の絆を強めるものでしょう。日本だと中学生以上の子供たちは友達との約束や部活動があってあまり参加しないかもしれませんが、そんなこともありません。アメリカの大学生は自宅から通う人は少なく、大学構内の寮やアパートに住むことが多いですが、そんな時もこのような集まりが家族と顔を見合わせるよい機会となっています。家族の重要性が社会的に強調されているのも大きな違いかもしれません。

Written by

記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

END