INTERPRETATION

家族の来米

木内 裕也

Written from the mitten

 先日、約1年ぶりに母がアメリカを訪れました。母にとっては今回が4回目の渡米でしたが、今回は1人ではなくアメリカ初訪問の祖父を連れての旅行でした。私は月曜日から木曜日まで朝8時半〜9時50分の授業を教えなければならないので、平日はその授業を終えてからホテルに迎えに行き、それ以外の日は朝食から一緒に夜まで過ごしました。

 今回の旅行の一番のイベントはナイアガラの滝。シカゴに行くか、どこか他の場所に行くかなど色々考えましたが、祖父が「ナイアガラの滝に行きたい」と強く希望したので、1泊2日の小旅行をすることにしました。私の住むミシガン州からだと10時間近く自動車でかかります。10時間を越えるフライトの数日後に、今度は自動車で片道10時間の移動は80歳を越える祖父にはきついのではないか、ということで移動は飛行機。午前中にランシングを出発し、正午過ぎにはデトロイト経由で滝の近くにあるバッファロー空港に到着しました。ホテルにチェックインしてすぐにナイアガラの滝に向いました。

 ナイアガラの滝は2つの滝があります。The Niagara Fallsと複数形になっているのはそのためです。カナダ側は滝の周辺が観光地化しているので、カナダ側に渡ってアメリカ側を見るほうが景観がよいとされています。私も以前に3度訪れていますが、いつもカナダ側に渡っていました。しかし今回は書類手続きの関係でカナダ側には渡らず、アメリカ側にとどまりました。滝のすぐ近くまで迎えるボートツアーにも乗りました。当日はやや風が強かったので、水しぶきが滝の一部を隠すほどでしたが、非常に勇壮な景色を楽しむことができました。

 遠出はナイアガラの滝程度でしたが、ミシガン州内でドイツ系移民が多く移住し、未だにドイツ風の建物の残るFrankenmuthにも向いました。ここにはアメリカ最大級のクリスマスグッズショップがあります。Bronner’sという名前のこのお店は1年中クリスマス商品を売っています。もちろん11月末を過ぎると非常に混雑していますが、夏でも観光客を含め、多くのお客さんが集まります。またFrankenmuthの近くにはBirch Runという大きなアウトレットモールがあります。ここでは祖父が私の叔父にお土産のTシャツを買ったり、母がお土産でトレーナーを買ったりしていました。また地元のプロ野球チーム(メジャーリーグではありませんが)の試合も観戦に行きました。祖父にとっては久しぶりの野球観戦だったようです。

 祖父はアメリカの規模の大きさに驚いていました。例えば食事の量。注文した料理が来る前に、パンとサラダで満腹になってしまうこともありました。いくら走っても直線ばかりの高速道路。私の教えるミシガン州立大学はキャンパスを1周するのに自動車で10分以上かかります。

 約10日間の訪問はあっという間でしたが、今度は極寒の2月にミシガンを訪れるのもいい経験では?と母に話をしてみました。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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