第63回 ハッピー通訳(後編)
「通訳しながら、ハッピーであること」
燃え尽きていた期間に、このことを考えるようになりました。それまでしていた仕事といえば、企業買収やら、ユーザー全員大反対の基幹システムの導入やら、ダークな社内政治やら…。
そう、ブラックなマリコだったのです。
そういう仕事を楽しめるタイプなら問題ないんですが(いや、それはそれで人間的に問題がありそうですが…)、やりながら悶々としていたのです。
「この仕事の通訳って、誰かの役に立ってるの?」
「役に立つっていうより、むしろ人を苦しめる手助けをしているような…」
「これじゃわたしって、悪の手先?」
そう思いながらも、「そうやって苦しむのも仕事のうちなのか」と自分を納得させようとしていました。そもそも、「仕事というのは苦しくてつらいもの」と最初から思ってたんですよね。仕事をしている自分がハッピーかどうかが問題になるなんて、思ってもいなかったんです。
「どうやったら自分がもっとハッピーに生きられるのか?」
この視点が、わたしにはスコーンと抜け落ちていたんです。むしろ、考えること自体が、まるで悪いことのように思ってました。罪悪感すら感じるという、なんとも真面目な人間だったのです。あ、今でも基本は真面目です、念のため。
ただ、考え方が変わりました。
「自分がハッピーに生きられるようにするのも、自分の責任」
そう思うようになったんです。
どんな仕事でも、ハッピーに生きられる道はあるはず。自分が興味を持って、やりがいを感じられる仕事をやれば、ハッピー通訳でいられるはずなんです。
実際問題として、そんなにうまく都合のいい仕事は回ってこないもの。
「だったら、自分がやりたい仕事が自分に回ってくるような仕組みそのものをつくっちゃえばいいんじゃない?」
そう考えて、てくてく、てくてく、歩いてきました。時間はかかりましたが、自分の価値観に沿った仕事ができるようになってきました。もう、ブラックなマリコじゃありません!
もし、いまの仕事で悩んでいる方がいたら、どうかそれを「当たり前」と思ってしまわないでくださいね。
みんなハッピー通訳になっていいはずなんですから!
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