第58回 社内通訳とフリーランス通訳-その6
社内通訳に比べて、フリーランス通訳のいいところってなんでしょう?
それはまず、お仕事を選べること。社内通訳だと、「こういう気の滅入るような話は通訳したくないなあ~」とか、「このお客さまって、インテグリティに問題あるんじゃ・・・」なんていうときでも、「その部分だけやりません」というわけにはいかないですからね。全部まとめて引き受けないといけませんが、フリーランス通訳なら、やりたくないお仕事はお断りして、自分の興味のある分野のお仕事を進めることができます。自分がご一緒したいと思えるお客さまを選んでいくこともできます。
とはいっても、一度お断りすると次からはお声が掛からない・・・なんていうこともあるわけで。自分の進みたい方向性と、収入のバランスを考えなきゃいけないので、このあたりの舵取りが悩むところです。
とはいえ、組織に所属するのが苦手な人にとっては、このしがらみのなさはたまりません。ややこしい人間関係に煩わされて精神的に消耗することもないですし。組織って、どうしても組織であるためにうまくいかないことがつきものですよね。そんな「組織であるがゆえのしょうもなさ」に振り回されずにすむんです!
それに、面白そうな、変わったお仕事って、たいていは単発で発生するんですよね。まあ、社内でしょっちゅう風変わりな講演やイベントばっかりやっているわけにはいかないでしょうから、当たり前といえば当たり前なんですが・・・。
毎回新しい世界に入っていくのは、大変だけれど楽しいものです。それだけ自分の世界が広がりますし、1回1回のお仕事にかける意気込みも強いし、充実感もあります。
会社の中で迷子になったり、信じがたいようなおバカさん発言やわがまま放題・・・そんな強烈なキャラで覚えているお客さまが多いのは社内通訳でのお仕事ですが、お仕事自体が面白かったり、内容が強烈だったりして印象に残っているのは、やっぱりフリーランス通訳としてやったお仕事のほうですね。
こうやって見てくると、「しがらみなく、好きなお仕事を充実してできるんだから、やっぱりフリーランス通訳っていいよね」というお話になりそうですが・・・。
とはいえこれはこれで、また大変なのです。
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