INTERPRETATION

第53回 社内通訳とフリーランス通訳-その1

寺田 真理子

マリコがゆく

通訳と言ってもいろいろですが、社内通訳とフリーランス通訳について、ちょっと考えてみましょう。
それぞれどんな仕事で、どんないいところや困ったことがあるんでしょう?

まず、社内通訳。文字通り、社内での通訳です。正社員の場合もたまにありますが、派遣や契約社員の形態が多いです。社内で日本語ができない外国人がいる場合、専属の通訳としてついたり、部署に所属して通訳をしたりします。まあ、時々よそに貸し出されたりしますが・・・。
レベルによって仕事はさまざまで、秘書兼務だったり、逐次通訳だけだったり、ウィスパリングや同通までやったり。ウィスパリングができるかどうかで、選択肢の多さに差が出ます。

社内通訳のいいところは、なんと言っても収入の安定!単発の場合に比べて1日あたりの単価は下がりますが、単発だと毎日仕事が入るとは限りませんからね。

次にうれしいのは、継続性。フリーランスだと、どうしてもトピックが毎回バラバラ。あるときはIT、あるときは福祉、そしてまたあるときは製薬・・・という具合にその都度準備が大変なのに加えて、せっかく覚えたものをまた使う機会がないのはやっぱり残念なもの。それに比べて、社内通訳はトピックに継続性があるので、学んだことを次に生かせます。継続性がある分、準備もフリーの場合に比べればラク・・・かな。

業界知識も、継続することで得られます。たいていは通訳以外に翻訳もやるので、そこで勉強しながらちょっとずつ知識を身につけていけます。しばらくやっていれば、わたしのように超アナログ人間でも、システム開発とかがなんとなくわかるようになります。

一定の仕事量があるのも、スキルを伸ばすにはいい環境です。フリーで仕事が続かなかったりすると、実際に通訳できる機会がすごく少なくなってしまいますが、その心配がありません。

フリーでやっていたらなかなか回ってこないようなお仕事も、社内通訳だと任せてもらえます。営業活動をたくさんし、通訳エージェントに信頼されてやっと回ってくるようなお仕事も、あっさりやらせてもらえます。というより、やりたくなくても、やらされます!

まだまだあります、社内通訳のいいところ!

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Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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