第52回 スライダー
あれ?さっきまでの話はどこいっちゃったんでしょう?
たまにいるんです、こういう「スライダーさん」。勝手にわたしがそう名づけたんですが、こういう人って、話し始めてからトピックがどんどんスライドしていっちゃうんです。
「コスト意識を強く持たなきゃいけないってことは、そういえばこの間のミーティングで人事の手続き変更があがっていたけど、上からの承認がなかなかとれなくて、こっちの作業が止まっているっていうのもあるんだよね。リリースのスケジュールってどうなっていたか・・・あ、そうだ、監査の対応も考えないといけないし、各チームのスコープがはっきりしてないのが問題だよね」
こんな具合に、次から次へとスライドして、聞き手も通訳も置いてけぼりです。
この手の人の通訳は大変ですよ。だって、どの話もきちんと完結してないんですから!
原文が単語と文章の切れ端だから、訳したものをきれいな文章に仕上げるのはかなり無理があります。全部訳していったら、聞いている人はわけがわからないだろうし。そもそも原文がわけがわからないんですから。
かといって、まともに完結した、意味のあるところだけ訳そうとすると、ずっと待っていて終わっちゃうことになるんですよね。
「結局、この人は何が言いたいのか」
スライダーさんの場合は、これをつかむしかないんですよね。
人によっては、スライドしながらいろんな種類の話を10通りぐらいしても、結局は全部ひとつの話に集約できたりするんです。でも、ずっと聴いていて、最後になってやっとそれがわかったりするから、意を汲んで訳すも何もないんですけどね・・・。
何回も同じ人の話を訳す機会があれば、話し方の癖だけでなく、「ああ、こういう考え方がバックにあるからこういう意見が出てくるんだな」っていうのがわかってくるので、余裕を持って訳せるようになります。
というよりも。
「そんなしょうもないことを考えてるから、こんなおかしなことを言うのね」
ということがわかります・・・。
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