INTERPRETATION

第49回 通訳の敵!万国共通・オヤジギャグ

寺田 真理子

マリコがゆく

通訳をしていると、「国や文化が違っても、人間って基本的なところは変わらないのね」としみじみすることがありますよね。
特にその思いを強くするのは、「外国人がオヤジギャグを放ったとき」です。
「オヤジギャグが好きなのは、日本人だけじゃないのね・・・」
しみじみしながら、ちょっと肩を落としてしまいます。

たとえば、社内通訳をしていたときのある男性上司。ミーティングから戻ってきた彼は、”Oh, you are back!(ああ、帰ってきたのね)”と声をかけられてこう答えていました。

“No, this is not my back. This is my front.(僕の背中じゃないよ。こっちは前だよ)”
・・・わかります?backに「背中」の意味があるのを、かけているんですね。そのあと後ろを振り向いて、”This is my back.(背中はこっちだよ)”とわざわざギャグの解説までしてくれました・・・。

この上司、あまりにみんなから「オヤジギャグが寒い、寒い」と言われるので、そのうちオヤジギャグを放った後に日本語でこう訊いてくるようになりました。
「サムイデスカ?」
「はい、凍えるほどに」。そう心の中で答えておりました。

こんな上司ですから、当然ミーティングの場でも度々オヤジギャグを放ちます。そして通訳のわたしは、それを訳さなきゃいけないんですよね。もう、寒さ2倍です。しかも、わかりにくい場合はオヤジギャグの解説までしなきゃいけないんですから・・・。
「わたし、一体何やってるんだろう?」
訳しながらうつむいていってしまうのでした。

通訳泣かせのオヤジギャグ。困っている通訳者は多いはず。なんとかしてオヤジギャグを追放できないものでしょうか?エージェントさんからお客さまへの注意事項の中に「オヤジギャグはご遠慮ください」と盛り込んでもらうとか?それでもきっと出てくるオヤジギャグを撃退するには、どうすれば?
効果的なオヤジギャグ撃退法をお持ちの方、ぜひ伝授してください!

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Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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