INTERPRETATION

第38回 かわいいのは、ダメかしら?

寺田 真理子

マリコがゆく

通訳者のみなさん、お仕事ではどんなペンを使っていますか?

通訳のペンというと、立派なものを想像される方も多いようです。
「ペンも通訳の商売道具だから、やっぱりいいのを使っているんじゃない?モンブランとか、そういうの?」

そんなふうに思われたりもしているようですが、実際はそんなこともありません。もちろん、中には「こだわりのマイペン」をお使いの通訳さんもいるかもしれませんが・・・。お客さまの前で、優雅な小道具を使って通訳を務めたい気持ちもあるものの、わたしは結局「そんじょそこらのペン」を使ってしまいます。

優雅なペンだと、重い物が多いんですよね。逐次通訳で長時間になると、手のほうもかなり疲れてしまいます。負担をかけない軽いペンとなると、やっぱり100円ボールペンみたいなものになってしまいますよね。あとは、グリップが使いやすくデザインされたものとか。

それに、インクもすごい勢いでなくなっていくんです!社内通訳でミーティングが連続するときなどは、1週間に数本ペンを使い切ってしまったり。ミーティングの途中でインク切れになって、隣に座っている上司のペンを奪い取って通訳続行!なんていうことも。(上司、しばし呆然・・・。)

そんな事情で、通訳には優雅なペンよりも、やっぱり100円ボールペン。

でも、通訳は「きつい、緊張する、髪振り乱すの3K」ともいわれる仕事。せめて何か、潤いがほしかったりします。ペンになごみを求めて、セサミストリートやらご当地キティちゃん、すしアザラシなどなど。いつの間にかキャラクターもののペンのオンパレードに・・・。まともなペンをたまに使おうとすると探すのに一苦労という状態になっていたりして。

単発のお仕事ではさすがにやりませんが。社内通訳のときは、いくら会社のお偉いさんでも、普段一緒にお仕事をしている身からすれば「ちょっととぼけたおっちゃん」くらいにしか思っていないもの。だから、マネジメントがずらっと居並ぶ会議でも、わたしの手元には「長崎名物カステラちゃん」のペンがきらりん☆ よくやらかしておりました。

さすがにあんまり目立つのは、みんなの視線がペンに集まってやりにくいです・・・。

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記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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