第29回 ちょっとトリッキー
「ここまではよろしいでしょうか?」
ミーティングのときに、そんな確認をすることってよくありますよね?
たとえば、誰かが報告をして。その内容について参加者からひとしきり質問が続いて。ああでもない、こうでもないと、ちょっと盛り上がりを見せたのがやっと落ち着いて。それじゃあそろそろ、次の話題に移りましょうかっていうときに。
このときの「ここまではよろしいでしょうか?」って、「他に何か質問はありませんか?(もうないですよね?)」っていうことと同じだったりしますよね。特に、どんどん質問が出て盛り上がって、「他に?」、「他に?」、「他に?」、「他に?(もういい加減十分でしょ!?)」と訊いていったときなんかは・・・。
そう解釈しているもので、つい、こう訳してしまいがちなのです。
“Do you have any other questions?“
すると、満面の笑顔で大きく首を横に振りながら、外国人が答えてくれます。
“No.”
なにしろ元の質問が「ここまではよろしいでしょうか?」ですから。
「よくないよ!」
そう言われたのかと思って日本人側が一瞬固まってしまいます。
「え?なんで?ダメなの?なにもそんなに断言しなくたって・・・。な、何がいけないんだろう?」
そんなふうに、みなさん、にわかにおろおろします。そのリアクションを見て、「あ、しまった。やっちゃった!」と思いますが、まあ、誤解のないように訳しておけばなんとかしのげます。
「はい、結構です」
「Noって聞こえたんだけど・・・」とでも言いたげな、ちょっと不思議そうな顔をして日本人側のお客さまに見られてしまったりしますが、実際に外国人は「よろしい、結構」と思っているわけなので。意思の疎通は図れているんですよね。
それで片付くはずなんですが。
ときどき、どんな質問だったかすらも忘れてしまっていることがあります。すると、外国人の答えにつられて、わたしまで・・・。
「いいえ、だめです!」
力強く訳してしまいます・・・。
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