INTERPRETATION

第28回 通訳と自信

寺田 真理子

マリコがゆく

「通訳してくれてありがとう。すばらしかった!」

そう言ってもらえると、やっぱりうれしいものです。

自分のやっていることに自信があれば、いちいち人の評価を気にすることもないんでしょうが。

昔に比べれば、自分のパフォーマンスを客観的に見られるようになったので、よかったかどうかは自分で判断できます。だけど、ときには訳してもうまく伝わらないこともあるんですよね。

通訳を通して聞いているので、よくわからない

なんて言われちゃったりして・・・。「ガーン!!」です。

そもそも話の内容がこじれているから、通訳を介さないで聞いている人だってわかっていないとか。通訳からしたら、いろいろと言いたいことや、斟酌してほしい事情もあります。

とはいえ、いくら自分の中で正当化できても、そう言われてしまったショックはあまり変わらなかったりするんですよね。

そんなことが続くと、さすがにへこみます。

「もしかして、下手なの?下手な通訳なのかしら?そ、そんな・・・」

そして自信喪失して、ますますパフォーマンスがひどいことに・・・なんていう悪循環は避けたいもの。陥りがちなワナですが、何とか立て直そうと頑張ります。

次はもうちょっとマシなことができるはず!

そう自分に言い聞かせて、次の仕事に臨みます。まあ、玉砕することもありますが。「マリコ、果敢に散る!」みたいな・・・。

「参加することに意義がある」

「仕事に臨む態度はよかったが、実力が伴っていなかった」

そうやってオリンピック精神で自分を励まし、よくわからない「ひとり反省会」を開催してみます。

そんなふうに自信をなくしがちになりながらもなんとか奮闘しているときに、通訳をほめられると本当に励みになります。

うまいタイミングでそうやってほめてくれる人が現れてくれたおかげで、なんとか仕事が続いてきたような気もします。

そうやって見計らったようにそんな人が現れるっていうことは、「この仕事を続けていきなさい」っていうことなんでしょうかね?

Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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