INTERPRETATION

第26回 うま?-通訳メモの謎~ウィスパリング/同時通訳篇

寺田 真理子

マリコがゆく

「うま」ですか?

なにやら「うま」って書いてあるんですけど・・・わかりますか?真ん中の段の下の、赤く囲ったところです。一体何なんでしょう?「」!?まさかね。

実はこれ、ウィスパリングのときのメモなんです。逐次通訳のときは、もっときちんと構造がわかるようにメモをとるんですけどね。同時通訳やウィスパリングだと、固有名詞や数字、後で訳すためにとっておくことなどをざっと書き留める程度です。ご覧の通り、もうぐっちゃぐちゃです。

同時通訳だと自分用にメモをとるというより、相手の通訳さんのためにとるので、さすがにもうちょっと読みやすいようにはしますが。「千」と「4」とか、急いで書くと判別しにくいものなんかは特に気をつけます。あと、普段は略字で書いているものも注意しますね。

相手がとってくれたメモがとっさにわからないときもありますが、「自分のとったメモがあまりにもひどい殴り書きで読めない」なんていう事態も発生してしまいます。

自分の字が読めません!
そう叫んでしまったこともそういえばありました・・・。

それにしても、「うま」って??うーん。
「この体制でうまくいくように考えましょう」
「このタスクをうまくこなさないとスケジュールがきびしいですね」
とか。そんな話だったんでしょうか?はたまた。
「今夜は久々に肉が食べたいなあ」
そんな話だったのかも・・・?いや、それはさすがになさそうです。

終わった後に、ときどきこんなふうに謎が残ります。なにしろ、通訳したそばから忘れていってしまっていますから・・・。「馬肉が食べたい」とか、そんなインパクトのあるセリフならさすがに覚えていると思いますが。そうでもないと・・・。

これって一体なに!?

そうやって自分のメモを見ながら頭を抱えることが多いのです。
うーん。「うま」、ねえ。
いっそ、みなさんにお願いです。
なんで『うま』って書いてあるんですか?誰か教えてください!!

Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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