第16回 チャット通訳
「チャットの通訳をお願いします」
そんな変わりダネのご依頼をいただいたことがあります。社内通訳をしていた時のこと、「アメリカ本社の重役が世界各国の支社からの質問にチャットで答える」という企画がありました。
「チャットって・・・もしかしてめちゃめちゃ早いんじゃないの?」
それがまず最初に心配になりました。怒涛のキータッチなんかされちゃったら、ついていけるかしら?それにそもそも、画面を見ながらチャットを通訳するって、どんな感じなんでしょうか?
想像がつかないまま、とりあえず事前に出た質問リストだけをもらって本番に臨みました。会場には40名ほどの参加者がいたんですが、チャットで答えるのが本社の重役とあって、当然こちらも重役クラスオンリーです。なれない形態の通訳に、更にプレッシャーがかかります。会場前方にはスクリーンが用意されていて、そこにチャットの様子が映し出されるとのこと。
そのスクリーンを見ながら通訳してほしいと言われたのですが、あまりにもやりにくそうです。そこで、代わりにPCの画面を見ながら通訳するようにしてもらいました。もうひとりの社内通訳さんと一緒に、PCにくっつくようにして通訳していきます。
心配していた怒涛のキータッチはなく、スピードはそれほどでもなかったものの、PCの画面を見ながら通訳するって、とってもやりにくいです・・・。
だって、通訳って、聞こえたものを通訳するようにできているんですよね。もちろん、原稿がある場合に備えての練習もしていますし、サイトラっていう技術だって当然あるわけです。でもその場合、あくまでも「原稿は手元にある」のが前提。そこでスラッシュを入れたりしながら読んでいけるんです。PCの画面じゃ、書き込みなんてできないし。どこまで訳したかもわからなくなっちゃいます。
誰か、これ、読み上げて!
プチギレしながら、乱視の相方通訳さんと超近視のわたしは画面にくっついて通訳していたのでした。
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