INTERPRETATION

第15回 知るか、そんなもん!

寺田 真理子

マリコがゆく

わたしを泣かせるのは、男じゃありません。資料です。もう、泣かされっぱなしです。

フォーマルな会議だと、資料も一般向けに、誰が読んでもわかるように書いてあります。専門用語はもちろんありますが、それでも「その業界なら誰でもわかるような専門用語」という意味では、一般性があるわけです。ネット検索などでたどり着けるので、意味がわからなくて困るということはそんなにありません。(ネットがない時代の通訳の苦労は、想像するにあまりあります・・・。)

困るのは、社内文書です。「仲間うちにしかわからない」おかしな用語がうじゃうじゃ出てきます。しかも、略語もいっぱいです。

「これって、製品名?プロジェクト名?なに?」

まさに暗号解読の領域です。

社内用語が多い企業だと、社員の方もついていくのに苦労するらしく、社内用語集がまとめてあったりします。この社内用語集をお客さまからいただくこともありますが、この中にもおかしなものがいっぱい出てくるのです。「FO」が「福岡」とか。「略すな、そんなもん!」と、思わずツッコミを入れたくなります。しかも解説には「明太、とんこつ・・・ああ、名店のあの味!」とか。「これって、用語集だよね?福岡グルメガイドじゃないよね?」とまたしてもツッコミを入れたくなります。

そんな社内用語集なども活用しつつ、あれこれネット検索をしたり、友人のネットワークなんかも駆使して頑張って何とか解読しても、どうしても意味不明で残るものがあります。そういうものは、ハイライトしておいて会議の直前にお客さまに確認することになりますよね。ところが・・・。

「この『OPJ』っていうの、何回も出てくるんですが。これはどういう意味なんでしょうか?」

「ああ、これねー。これ、小田さんがやってんの。『小田さんずプロジェクト』だから、OPJ。いいでしょ?わっはっはー!」

・・・いや、「わっはっはー」って・・・。あんなに解読しようと頭を抱えていたのに、それですか!?あの・・・言ってもいいですか?「知るか、そんなもん!」

Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

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