INTERPRETATION

第12回 資料攻略法

寺田 真理子

マリコがゆく

エージェントさんから分厚い資料の束が届くと・・・きゅんっ!

胸のときめきじゃありません。胃が締めつけられる、「きゅんっ!」なのです

いただいたものが用語集なら、覚えるしかありません。「ヘンな訳だなあ」なんて思っても、そこは「郷に入りては郷に従え」の精神で。せっかく覚えても、実際にはお客さまはカタカナでそのまま使っていたりしてがっかりもしますが。ともかく、攻略法は簡単です。(ただし作業は大変!)

パワーポイントの資料なんかは、概略をつかむにはいちばんいいですよね。わけのわからない略語が頻発の場合もあるものの、全体の流れがつかめます。

でも、油断は禁物!いくら概略がわかっても、どう発展させるのか、細かい肉づけはどうするのか・・・全然予想していないことが出てくるので、あなどれません。

となるとやっぱりありがたい発表原稿。心強い味方です。なんなら訳文だって用意しちゃいます。あとは大幅な変更や、原稿無視の暴走がないことを祈るばかりです。

ちょっと厄介なのが、発表論文の類。もちろんそれを読んでおけば、前提となる知識が得られるのでとっても有意義。「ああ、あの資料に載ってたことが下敷きになってるのね。読んでおいてよかった、助かったあ~!」なんて場面もありました。ただ・・・わたしの場合、「もらってすぐに読み始めないと落ち着かない」という反面、「いま読んでも、当日までに忘れちゃう」という悩みが。

そこで、対策!まずは、読みます。読んで構造を理解して、それを余白にちょこちょこっと書いておくんですね。英文の資料しかなくて、「これをまた読むのはうんざりだなあ」という場合は特に。キーワードは目立つようにハイライトして、付箋などにまとめます。そして数段落ごとに、要点をカンタンにまとめておきます。それも、なるべくとっつきやすく

「AとBの2つがあったから、うまくいったの。どっちもとってもだいじ!」

「最初はこのやり方でうまくいったんだけど、ダメになっちゃった。だから、やり方変えたの」

小難しい資料が、なんとも「アタマ悪い子仕上げ」に変換されていきます。このおかげで、直前にあせって読むときでも「何の話だったっけ?あ、そうだった、そうだった!」とすんなり入っていけます。

ただし、わたしの知性を著しく疑われる危険があるので、お客さまの前にはお出ししないように気をつけております。

Written by

記事を書いた人

寺田 真理子

日本読書療法学会会長
パーソンセンタードケア研究会講師
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在。東京大学法学部卒業。
多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演、執筆、翻訳活動。
出版翻訳家として認知症ケアの分野を中心に英語の専門書を多数出版するほか、スペイン語では絵本と小説も手がけている。日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。
ブログ:https://ameblo.jp/teradamariko/


『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと~パーソンセンタードケア入門』(Bricolage)
『介護職のための実践!パーソンセンタードケア~認知症ケアの参考書』(筒井書房)
『リーダーのためのパーソンセンタードケア~認知症介護のチームづくり』(CLC)
『私の声が聞こえますか』(雲母書房)
『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』(クリエイツかもがわ)
『認知症を乗り越えて生きる』(クリエイツかもがわ)
『なにか、わたしにできることは?』(西村書店)
『虹色のコーラス』(西村書店)
『ありがとう 愛を!』(中央法規出版)

『うつの世界にさよならする100冊の本』(SBクリエイティブ)
『日日是幸日』(CLC)
『パーソンセンタードケア講座』(CLC)

END