第10回 ガンつけじゃないの
眉間にしわを寄せて、ミーティングの参加者を順番に睨みつけるわたし。
「どいつもこいつも気にいらねーぜ!!」
なんて思いながら、お客さまにガンつけしているわけではありません。ただ、頑張って通訳しようとしているだけなんです。
ウィスパリング通訳のときって、音が聞き取りにくいことが多いんですよね。マイクやヘッドセットがないし、参加者が多いとなんだかざわざわしているし。通訳にとっては、やりづらい状況が多いんです。せめて少しでもよく聞こえるように、身体を乗り出してみたりして。
目から入ってくる情報も大事なんですよね。よく、「相手に伝わる情報は話の内容ではなく、見た目の印象が7割以上」なんて言いますが。通訳というと「耳」だけに頼っているようなイメージか強いかもしれませんが、実はそうでもないんですよね。目から入ってくる情報にも、かなり頼っているものなんです。発言している人の表情や口元の動きなんかには、ちゃんと注目しています。
なので、なるべく発言する人が見えやすい位置を確保するようにしています。社内通訳で、参加者がよく知った人だったりすると、「ここがいちばん見やすいから、ここがわたしの席ね!」なんて、ちゃっかり「いちばん偉い人の席」をとってしまったりして。
簡易同通機材が使える場合は、動き回ることもよくあります。聞こえにくかったり、発言者が声の小さい方だったりすると、トランスミッターを持ってその人の近くにズンズン歩いていっちゃいます。お客さまにしたら、いきなり通訳が自分に向かってやってくるんですから、びっくりされるかもしれません。しかも、こわい顔でやってくるんですから!
音が聞き取りにくいときは、特にそうです。口元の動きを一生懸命見ながら、聞こえない分を何とかカバーしようとするんですが、必死なあまり、ついつい眉間にしわが。こわーい顔で、お客さまにきびしい視線を向けてしまいがち。
だから、ガンつけじゃないんですってば!!
-
国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!
-
オリンピック通訳
-
英語のツボ
-
教えて!通訳のこと
-
【人気会議通訳者が教える】Tennine Academy
-
通訳者インタビュー
-
通訳者のひよこたちへ
-
ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!
-
通訳者のための現場で役立つ同時通訳機材講座
-
通訳者になるには
-
Training Global Communicators
-
忙しい人のためのビジネス英語道場
-
やりなおし!英語道場
-
Written from the mitten
-
通訳者のたまごたちへ
-
通訳美人道
-
マリコがゆく
-
通訳者に求められるマナー
-
通訳現場おもしろエピソード
-
すぐ使える英語表現
-
Bazinga!
-
通訳式TOEIC勉強法
-
American Culture and Globalization
-
中国語通訳者・翻訳者インタビュー
-
多言語通訳者・翻訳者インタビュー