第6回 ただいま、避難訓練中!
マイクが大好きです。マイクって、あれです。機材のマイクのことですよ。
何十人も参加する逐次通訳のミーティングでも、マイクがないことがあります。「マイク内蔵型」のやたら地声のでかい通訳さん(たいてい男性)はいいですが、そうでないとつらいものです。「自分が話す」のと「通訳する」のって、全く別物なんですよね。
自分が話すんだったら、別にマイクがなくても文句は言いません。大きな声を出せばいいだけです。でも、そうはいかないのが通訳です。逐次通訳って、「下を向いて話さなきゃいけない」ですからね。聴衆が前に座っている場合は、ちゃんとわかっているかどうか確認するためにも顔をあげるようにしますが、本当はずっと下を向いたままの方がパフォーマンスはいいはずです。下を向いて、メモを見てるわけですよね。だから、メモから顔をそらすと、集中力がそがれてしまうのです。
「下を向いたまま大きな声を出す」って、これはなかなか難しいです。大きな声を出そうとすれば、必然的に顔を上げることになります。だけど、自分の思考じゃなくて「人の思考」を追っているので、必死に頭の中に詰め込んでいるものが、顔を上げるたびにぽろぽろとこぼれていってしまいます。当然、パフォーマンスもひどいことに・・・。
そんなわけでなるべくマイクが使えるようにお願いするんですが、社内のミーティングの場合、マイクがないこともしょっちゅうです。わざわざそんな手配をするために手間暇やコストをかけるよりは、通訳に頑張らせてしまおうというお客さまが残念ながら多いもの。ある通訳さんなんかは、会社のパーティーでマイクの代わりに拡声器を使ったそうです。
「えー、なにそれ。避難訓練みたいじゃない!?気の毒~」
そんな話を同僚として笑っていたら。その後、別の会社で自分もやる羽目になりました・・・。
真っ赤な拡声器を使っての避難訓練、じゃなくて通訳。忘れられないシーンのひとつです。
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