第3回 囁きはシャウティング!?
「ウィスパリング通訳の仕事のはずだったのに・・・」
ウィスパリング通訳って、ウィスパーっていうぐらいだから、「囁く」わけですよね、本来は。
できるだけ小さい声でできるほうが、通訳としてはやりやすいですよね。自分の話す声が大きくなりすぎると、それが邪魔になって聴くほうに集中できなくなってしまいます。特に、ウィスパリングの場合、通訳にとってあまりいい環境じゃありません。通訳ブースなどと違って、ちゃんと音が聴きとれるようになっていないので、何十人もいるような会議だと、話し声などがすごく耳についてしまいます。
ウィスパリング通訳をする相手も1人だといいのですが、「2人必要なんで、2人にお願いします」なんていうことがよくあります。「1人も2人もおんなじでしょう?」って、きっとお客さまは思っているはず。でも、違いますよね。
2人いると、やっぱり通訳も音量を上げないといけません。そういう時はその2人になるべくくっついて座ってもらいますが、「ちゃんと伝わってるかな」と2人に対して気を配らないといけないので、集中力もその分そがれるわけです。ウィスパリング通訳もやることは同時通訳と同じですから、極度に集中力が要ります。だから、「そんなところで集中力はできるだけそがれたくない」というのが本音です。
その場での参加者へのウィスパリング通訳に加えて、「電話で参加する人も通訳が必要なんで、お願いします」ということもありますよね。電話だとやっぱり音量を上げないといけないので、できればこれもお断りしたいケースですが。なるべく電話にくっついて通訳して、なおかつその場の参加者にも近寄ってもらって・・・という形で乗り切ります。
でも、時々すごい状態になることがあります。電話での参加者のほか、その場で通訳が必要な外国人が7-8人わたしのまわりにわんさわんさとひしめきます。まるで、おしくらまんじゅうみたいです。こうなるとウィスパリング通訳とはもはやいえない状況・・・。立ち上がって、発言者に負けない大声で通訳する羽目に。
そうです、これはもう、シャウティング!
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