第2回 見かけによらず濃いあなた
冗語って、何のことかわかりますか?
話をしているときに、「うーん、そうですねえ」とか、「えーと、まあねえ」とか、そんな言葉が入るでしょう?それが冗語です。情報や意味を持たないので、訳さなくてもいい言葉です。同時通訳をするときには、冗語があると「息継ぎ」ができてありがたいですよね。(なかには冗語しか発してくれないお客さまもいらっしゃるので、あまりにも間が持たないと仕方なく”Well,…”とか”Let me see…”とか訳しておきますが・・・。)
普通に話をするときは、「考える作業」と「話す作業」が並行しているので、冗語がよく出てきます。その分、情報密度は薄まっているわけですよね。これがプレゼンや書き言葉になると、よく練られてあるので当然ながら冗語は排除されてます。情報密度が濃いので、通訳しなきゃいけないことも増えるわけです。話をしている途中でいきなり書いたものを読み上げられたりすると、情報密度が急にグン!とあがって大変です。ホントに通訳泣かせだなと思ってしまいます。
女性は一般的に早口で、冗語も少ないことが多いです。ただ、言葉数は多くても、場合によっては話の情報密度はそれほど濃くないこともありますね。
対する男性陣は、「冗語の連発!」という方が多いものです。そんな中で、ひとり、とても印象に残っている男性がいます。ある会議で、ベンダー側の参加者のひとりが、手帳を見ながらよどみなく話していくんです。それが、冗語が一切なくて、全部情報なんです!見事なまでに、一語として無駄なものがないんですよ。ウィスパリングをしていたわたしは息切れしながらも、気になって仕方ありませんでした。「この人は、何者!?」
同じミーティングに参加していた人も、やはり彼に注目して観察していたそうですが、彼が見ていた手帳には「何も書いてなかった」んですって!何も見ないで、あんなによどみなく話していたわけですか・・・ちょっとその才能、私に分けてください!
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