通訳者に求められるマナー
高いプロフェッショナル意識と能力が求められるのが通訳者です。通訳の仕事は現場でのパフォーマンスで評価されますが、それ以外にもお客様や現場での通訳者同士のコミュニケーション、またエージェントとの関わり方も重要だと思います。通訳者を目指す方へ、プロの通訳者として求められているマナーを紹介いたします。
1. 通訳者もクイックレスポンスが基本!
私たちコーディネーターは「お客様をお待たせしない」ということをいつも念頭に仕事をしています。ご依頼をいただいたらすぐにお願いしたい通訳者に電話やEメールでスケジュールの確認をさせていただきます。通訳者にはいつでも連絡が取れる体制を整えて欲しいと思います。ご依頼は数カ月先のものもあれば、前日、当日という急ぎの案件もあります。急ぎの案件は数名の通訳者に同時にお声をかけることもあります。その場合最初にお返事をいただいた方にお仕事をお願いしますので、いつでも連絡が取れる体制であること、早く折り返しの返事をいただくことが、仕事に繋がってくると思います。
2. スケジュール管理もきちんと!
仕事の問い合わせを受けたら、会議の内容、日時、場所、通訳形態などを確認して自分のスケジュールで受けられるかどうか確認しましょう。1日に2つの仕事を受ける場合は、前の会議が伸びることも想定して時間には余裕を持って次の仕事を受けましょう。ダブルブッキングは絶対に避けてください。
3. TPOに合わせた服装を!
通訳者は大勢の人前に立つ機会も多いので身だしなみは非常に重要です。ビジネスに相応しい服装やメイクを心がけましょう。あまり目立つ服装もお客様に敬遠されがちです。以前「記者会見の通訳でカジュアルな格好で通訳をした」ということでクレームになったことがあります。また「通訳者が資料を紙袋に入れていた」ということでお客様が心象を悪くされたケースなどもあります。また工事現場での通訳の場合はハイヒールやスカートは適しません。通訳者にはTPOをわきまえた服装が求められます。
4. 恐れず受ける姿勢と断る勇気
通訳現場で一つ一つ経験を積むことは、通訳の実力を付けるために不可欠です。現場では学校だけでは学べない多くの気づきもあるでしょう。新しい分野でも経験になるから積極的に受ける通訳者もいれば、自信が持てないからと断ってしまう通訳者もいます。自信がないからといつも断ってしまっていては、いつまで経っても経験は積めません。かといって自分の全く分からない分野を受けて失敗してしまっては、次の仕事に繋がりません。いずれにしても自分のスキルを正確に見極める力が必要です。
5. どんな仕事でも丁寧に!
通訳者には下積みの仕事というのはありません。経験の浅い通訳者はアテンドなど比較的プレシャーの少ない簡単な仕事から依頼されますが、現場ではプロの通訳者として見られます。また現場では経験を積むことはできますが、勉強をするところではありません。どんな仕事でも事前準備は現場に出る前にしっかりと終え、準備万端で本番に臨みましょう。
6. 絶対に遅れない!
通訳者は遅刻しないというのが最低限のビジネスマナーです。エージェントにとって「通訳者が集合時間になっても来ない」という電話を受け取るのが一番辛いことです。通訳者が現場に来なければ会議自体が完全にストップしてしまいお客様に迷惑がかかってしまいます。電車が遅延することも考慮して余裕を持って現場に向かいましょう。また初めて行く場所は特に早目に現地に着くようにしてください。集合時間の30分前には現場に着いてお茶を飲んでから現場に向かうぐらいの心の余裕を持ちましょう。
7. 最初に自己紹介をしましょう
現場についたら「本日通訳を担当させていただく○○です。よろしくお願いいたします」と担当者にまず挨拶しましょう。またエージェント経由で仕事を受けた場合は、自分の名刺は出さずに必ずエージェントが用意した名刺などを使いましょう。
8. いつでも臨機応変な対応を!
通訳業務はスケジュールの変更や会議内容が変わるということが多く発生します。例えば「現場に行ってみると逐次通訳の予定がウィスパリングになった」「直前にスピーチ原稿の差し替えが入った」「スピーカーの順番が変わった」などよくあります。私たちコーディネーターは必ず事前にクライアントの担当者と確認をしますが、それでも突発的な変更が発生する場合があります。
事前に聞いていたことと違うシチュエーションになった場合、現場では臨機応変に対応してください。その場で「それはできない」と直接クライアントに伝えるのではなく、まずは「エージェントに確認してみます」とお伝えいただき、コーディネーターに連絡して相談してください。通訳という仕事はスキルだけではなく、ビジネスを円滑に進めるためのコミュニケーションスキルが必要となります。
9. 機密保持は死守する
通訳業務は機密性の高い仕事内容が多いので必ず機密保持をいつも念頭に置いて仕事をしてください。会議中に知りえた情報は会議室を一歩外に出た後は絶対に口外しないようにしましょう。家族や友達にも絶対に口外しないようにしてください。
また事前資料を電車の中など公共の場所で広げないようにしましょう。使い終わった資料は現場で返却するまたはシュレッターするようにしてください。
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