第54回 bubbleと言えば?
日本語や英語に限らずどんな言語でも時代の流れを反映して常に新しい言葉が生まれます。それが今年に入って新型コロナウイルスの感染拡大ととともにたくさんの新語・造語が生まれました。それに加え、もともとあった言葉が新しい文脈で使われるようになることもあります。英語でneology /neologismというとその両方をさします。日本語では「コロナ禍」や「コロナ太り」「巣ごもり需要」「3密」、英語ではzoomが動詞で使われ始めたり(例:Let’s zoom tomorrow!)、covidiotやthinkihadititis, infordemicなどなど。
では、bubbleというとどんな訳語が何が思い浮かびますか? 第1語義は「泡」ですが、「バブル経済(the bubble economy/an economic bubble)」を思い浮かべる人も多いことでしょう。英語圏に住む子供なら「シャボン玉」かもしれません。
けれども最近はCovid-19のロックダウン段階的解除 (gradual ease of lockdown) でsupport bubble, travel bubble, social bubbleなどという表現が頻出するようになりました。ここでのbubbleは「その中に包まれて暮らすと安全と思われる泡」のこと。これまでは外出や人に会うことが禁止されていましたが、支援を必要としている人は限られた人とa support bubbleを築き、その世帯間は自由に会うことができます。a travel bubbleもよく似た考え方です。感染レベルが同程度の国同士で渡航協定を結び、協定を結んだ国々は大きな泡に入っているイメージで、2週間の自主隔離が免除されます(PCR検査はあり)。こちらはair bridgeやtravel corridorなどとも言われます(英ガーディアン紙)。
3月に欧米で相次いでロックダウン開始とともに国境閉鎖されましたが、感染拡大がひと段落し、本格的なホリデーシーズンを前に「少なくともこの国にはホリデーで行ってもいいよ」という措置のようです。
2020年6月27日付BBCによると、7月6日よりイギリスと渡航協定 を結んでいるのは、フランス、スペイン、イタリア、ギリシャ、オランダ、フィンランド、ベルギー、ドイツなどの欧州の国々とトルコ。感染率がイギリスより高いポルトガルやスウェーデンは対象外です。今後カリブ諸島の一部やオーストラリアともair bridge/travel bubble/travel corridorが築かれる可能性が高いようです。
現段階では、イギリスに入国する際に14日間の自主隔離が義務付けられています。EUは日本を含む十数カ国からの受け入れを7月1日から開始するとのことですが(Japan Times)、日本側は帰国者に対して2週間の自宅待機が求められる(日経新聞)のでまだしばらくは基本的に海外出張はなさそうです。私たちのような海外在住者は一時帰国の見通しが立たない状態が続いています。とはいえ、徐々に色んなことが再開されているので、ニュー・ノーマルが本格化し、安全な形で海外出張も始まることを期待したいです。
日本とイギリス/EUの間でtravel bubbleが出来る日が近いといいなと夢見ています(両地域がシャボン玉に包まれているイメージ...遠い目...)。
2020年6月28日
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