第9回 お待たせいたしました! ついに…Brexit Update!!
本コラムで初めてBrexitという言葉を紹介した2015年12月以来(第22回参照)、イギリスのEU離脱に関して動きがあるたびに記事のトピックとして取り上げてきました。けれども、いよいよとなった昨年末より、イギリス国内でのゴタゴタが続き、2019年3月29日という期限が刻々と迫っていたもののあまり記事として取り上げたくない状況が続きました。執筆時点(2019年3月24日)では未だ不透明な状況が続いています。けれども、来週に向けて大きな動きがあることは確実ですので、皆さんが本記事をお読みになるまでに再び状況が変わっていることを覚悟で現状をお伝えいたします。
まず、2018年11月にイギリスとEUの間で「離脱協定(Withdrawal Agreement)」案が合意されました(第155回参照)。ただし、これは英国、EUそれぞれ批准手続きの完了を必要とするのですが、英国議会下院が否決したため、先が見えない状態が続いていました(この間、メイ首相に対する不信任投票も行われましたが否決→メイ首相続投)。
イギリスで離脱協定案が受け入れられない主な理由はアイルランドとの国境問題です(第88回、第138回参照)。
先週決定したことは、これまで2019年3月29日とされてきたイギリスのEU離脱日の延長が認められたということです。ただし、いつまで延長されるのかは未定です。
そこで今後の動きについてBBCサイトより図を引用して説明します。
Extending Article 50(イギリスEU離脱日の延長)
1)Have MPs approved Theresa May’s deal?
Theresa May’s dealというのは11月にEUとの間で合意されたWithdrawal Agreementのことです。MPsはイギリスの議会議員(Members of Parliament)。ちなみに議員一人ならan MPといいます。
→議会は離脱協定案を可決するか?
2)YESの場合、5月22日に離脱協定に基づいて離脱(Brexit with deal)
3)Noの場合はほぼ確実に4月12日までの延長ですが、その場合次の選択肢があります。
1. no deal (4月12日に合意なしの離脱)
2. Cancel Brexit (EU離脱取り消し)
3. Renegotiate (大がかりな再交渉。ただしEU側がどう対応するかは不明)
4. Referendum(二度目の国民投票。ただし、世論調査によると今も意見は分かれている)
5. General election (総選挙。野党第一党労働党はこれを望んでいる)
1)の3度目の正直でメイ首相が推進する離脱協定が議員で可決されるのかという点ですが、今日の報道によると、メイ首相が辞任すると表明すれば賛成票を投じるという保守党議員がかなりの数いるとのこと。また十分な賛成票が得られる見込みがなければ採決をしない可能性も残されています。
この点に関しては週明けのニュースに注目です。
以上、まだまだ先行き不透明なBrexitですが、ついに何らかの答えが出る段階に入ったのでアップデートをお伝えしました。今週のイギリスからのニュースでは上記のどの選択肢が選ばれるのか、それともまた新たな動きが出るのかにご注目ください。
2019年3月24日
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