INTERPRETATION

第3回 世界経済フォーラム(World Economic Forum)

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。1月も終わりに近づきましたが、いかがお過ごしでしょうか。今月中旬は、Brexit関連でイギリスからの大きなニュースが世界で報道されました。けれども、現在も問題解決に向けて進行中なので、Brexit Updateはまた別の機会とし、今回は先日スイスで開催された世界経済フォーラム年次総会を取り上げます。

世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会(Annual Meeting)は、毎年1月の下旬にスイスのスキーリゾート、アルプス山標高1500メートルにあるダボス(Davos)で開催され、ダボス会議として知られています。政治家や多国籍企業の経営者、ジャーナリスト、知識人などの世界のトップリーダーが一堂に会し、世界が直面する重要な問題について話し合う場となっています。世界のエリートのネットワーキングの場だとも言われています。基本的にグローバリズム推進派が集まるのですが、2年連続で米トランプ大統領が参加する予定、もしかすると露プーチン大統領との会談も開かれるか、ということで話題になっていました。けれども、結局トランプ大統領は国内の予算をめぐる問題のために参加を断念。

一方、今年のG20議長国を務める日本の安倍総理は参加し、英語の演説で在任中の6年間に多くの政策が効果をなしたことを数字で示し、「日本にまつわる敗北主義は、敗北した(Defeatism about Japan IS NOW defeated)」と宣言しました。安倍総理の演説は、Davos 2019の8 top storiesのNo.5で取り上げられています(参考サイト)。また世界貿易機関(WTO)の改革も訴えました。

今年のテーマは、Globalisation 4.0 :Shaping a Global Architecture in the Age of the Fourth Industrial Revolution (グローバル化4.0:第4次産業革命時代のグローバル・アーキテクチャーを築く)でした。

ここでのキーワードは、the fourth industrial revolution(第4次産業革命)。Industry 4.0とも言われます。これは、日本が提唱している未来社会のコンセプトSociety 5.0とは似ている面もありますが、もっと技術発展に特化した考え方です。

第1次は19世紀のイギリスで蒸気機関が発明されたことで起きた「機械化(mechanization)」。第2次は、20世紀のアメリカで始まった「大量生産 (mass production)」。第3次は20世紀後半に起きた「機械の自動化 (automation) 」。そして第4次は21世紀にIoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットなどの進化により起きている産業構造の変化や自律化を指しています。

ダボス会議でGlobal Agendaとして取り上げられたトピックは、Climate Change(気候変動)、Drones(ドローン)、Global Governance(グローバル・カバナンス)、Workforce and Employment(労働力と雇用)、Circular Economy(循環経済)、Digital Economy and Society(デジタル経済・社会)など。

過去のダボス会議では、トランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領などが参加して話題を呼びましたが、今年は少し盛り上がりに欠けたようです。世界経済の先行きに不安感が高まる中、全体的な参加者数も減っているとのことで、今後のダボス会議がどう発展していくのか気になります。

以上、今週はダボス会議を取り上げました。世界経済について考えるきっかけとなれば幸いです。

2019年1月28日

 

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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