INTERPRETATION

Vol.28 「Being ready is the key to success」

ハイキャリア編集部

通訳者インタビュー

【プロフィール】
アンダーウッド佳代子さん Kayoko Underwood
美術系大学在学中より通訳を始める。卒業後は、インターナショナルスクールにて美術、日本語、ESLの講師を務めながら、フリーランス通訳者としても経験を積む。通訳スクールで優秀生賞を受賞後、フリーランス会議通訳者として独立、現在は関西を拠点としながら、様々な分野において活躍中。

Q. 語学に興味を持ったきっかけは?

おそらく皆さんもともと英語が好きだったとか、帰国子女だったからとおっしゃると思うんですが、私の場合は特にそういうわけではないんです。両親ともに英語を話すんですが、特に父は「英語は、意思伝達のツールにすぎない」と昔から言っており、それがずっと頭にありました。
英語圏の文化には非常に興味があったので、知識を深めるためには英語でコミュニケーションをはかることが必須だと思い、自然に習得するようになったという感じでしょうか。

Q. 在学中から、通訳を?

知り合いから頼まれて、アテンド通訳や学会レセプションでの通訳、ブース付通訳などをやりました。大学の専攻は美術でしたが、将来何をしようかと考えたときに、美術は好きだけど、これで食べていくのは難しいかもしれないなと思ったんです。そこで、通訳はどうかと。当時の語学力がどのくらいだったかはわかりませんが、主人が外国人なので、自宅での会話は全て英語でした。多分コミュニケーションは取れていたと思うんですが(笑)。
頼まれるがままに国会議員の通訳なども担当していたので、今から考えると本当にこわいですね(笑)。

Q. 具体的にどのようにして勉強を?

大学卒業後、通訳学校2校に通いました。それぞれ教授法が違ったので、いろんなメソッドを学べたのはよかったと思っています。社会人経験が無かった私にとっては、学校に行くのは一番の近道でした。

Q. 大学卒業後は、通訳、講師と2つのお仕事を?

インターナショナルスクールで講師をしながら、フリーランスとして通訳もしていました。並行してやっていくうちに、今後もし出産などで一時仕事を中断することがあったとしても、専門職だと戻りやすいかなと思ったんです。そこで、本格的に通訳一本に絞って活動することに決めました。翻訳という選択肢もあったんですが、家にこもるのは向いていないし、もともと人とのコミュニケーションが好きなので、通訳を選びました。

Q. 通訳をするときに、普段心がけていることは何ですか。

通訳はもちろん技術職ですが、同時にサービス業だと考えています。顧客満足があって初めて成り立つ職業です。必要ないだろうと思いながらもついついやってしまうのは、アメリカ英語とイギリス英語の使い分けです。場合によっては英米で使う単語や表現方法が違う場合がありますよね。アメリカ英語ではない夫に鍛えられているせいか、ついついイギリス人の前ではなるべくブリティッシュな表現を、アメリカ人の場合はもともと私が習得したアメリカ英語で通訳してしまいます。これもサービス精神、と言えるのでしょうか(笑)。

Q. アンダーウッドさんの一番の強みは?

コミュニケーション力でしょうか。海外留学をしたわけではなく、大学で英語を専攻していたわけでもありませんが、自分は言語のスペシャリストではなく、コミュニケーションのスペシャリストだと思うようにしているんです。トータル面でのコミュニケーションをサポートしたいと思っています。もちろん状況を見てですが、うわべだけの訳ではなく、通訳という職業を出ない範囲で補足、アドバイスできる際にはしているつもりです。

Q. 一番お得意、お好きな分野は?

1つの分野を多くこなしていると、自然に得意分野になるのかなと思うんです。そういう意味ではいくつか挙げられるんですが、どの分野であってもコミュニケーション力を発揮できる仕事だと達成感があるし、やりがいも感じられますね。

Q. スキルアップの秘訣を教えてください。

座右の銘は、’Being ready is the key to success.’、ヒューレットパッカード社のカーリー・フィオリーナ前会長がおっしゃった言葉です。通訳のパフォーマンスも、どれだけ自分がbeing readyなのかにかかっています。関西在住なので、東京ほど多くの機会に恵まれていないかもしれませんが、実力が運を呼ぶと思うんです。常に勉強して自分を磨いておけば、いざという時に対応できると思って日々前向きにがんばっています。
通訳技術のスキルアップといえば、同時通訳の仕事の前に、シャドーイングをして英語の滑舌をよくしてから出かけることがあります。質の高い英語の文章に触れて語彙を増やし、わからない単語はその場で調べて頭に叩き込みます。時間があるときには、使う単語が偏らないように、普段の仕事とはなるべくかけ離れた分野の勉強をするよう心がけています。

Q. ご趣味は?

スキューバダイビングが好きです。年に何回かは、沖縄や海外でもぐっています。どんなに嫌なことがあっても、もぐった瞬間に全部飛んでいきます。
最近ゴルフを始めたんですよ。格闘技やモータースポーツの観戦も好きです。

Q. 今後のキャリアプランは?

このままがんばって、将来的には8割はブース入りしたいと思います。あと2割は、それ以外の仕事もやっていきたいんです。人とのコミュニケーションが好きなので、お客様の顔を見て通訳できる仕事も続けていきたいですね。
これだけは負けない、これは私の一番の専門です、と言えるような分野をいくつか持てるといいなと思います。
ブース通訳時の癒し系グッズと、スマートフォン。

Q. もし、通訳者になっていなかったら?

主人と結婚していなかったら、通訳者になっていなかったかもしれません。もし結婚しなければ、大学3年時にイギリス留学する予定だったんです。留学していたら、全く違う人生を送っていたかもしれませんね。何をやっていたか想像もつきませんが、自分が常に情熱を持って打ち込めるような仕事をしていたいと思います。

Q. これから通訳者を目指す人へのアドバイスをお願いします。

関西は東京ほど仕事の量は多くありませんが、好奇心が強く、人が好きで、勉強が苦にならないのであれば、是非挑戦してください。新しいことを、「おもしろい」と思って取り組めることが大事だと思います。

<編集後記>
お仕事で東京にいらっしゃっていたところを、無理矢理お願いしてインタビュー実現となりました。Being ready…、身の引き締まる思いです!

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記事を書いた人

ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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