INTERPRETATION

第339回 「楽している」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

ride the gravy train 楽している
After winning the lottery, he is now riding the gravy train.  (宝くじに当選してから彼は今や楽をしているよ。)

******

「楽をしている」「努力もせずに大金を得る」を口語表現でride the gravy trainと言います。gravy train自体が誕生したのは20世紀始めで、当時は「短距離でも儲かる」という鉄道業界のスラングだったそうです。イギリスでは当初、政治家に対して使われるフレーズでしたが、最近は日常の場面でも使われています。(https://www.britishcouncil.jp/sites/default/files/eng-culturetalk-gravy-train-jp.pdf

ところでgravy(肉汁)と聞いて私が思い出すのが、幼少期に通ったイギリスの小学校です。学校給食は日本と異なり、キャンティーン方式。キッチンの前に生徒がトレイとお皿を持って並ぶと、調理員さんたちが順番にメインディッシュ、付け合わせの野菜を盛り付けてくれます。野菜はグリーンピースやカリフラワー、ニンジンなどの茹で野菜であることが多く、メインディッシュはたいてい肉でした。一通り盛り付けが終わると、次はgravy sauceをかけられるのですね。転入当初は物珍しさがあったのですが、次第に同じ味付けに飽きてしまい、とうとう自宅からお弁当を持参するようになったのでした。

ちなみに当時のイギリスの小学校給食ではスポンジケーキのデザートももれなくついており、かな~りパッサパサの土台の上にカスタードのソースを山盛りされました。乾燥スポンジがソースで緩和されるという口中調味でした!

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

END