INTERPRETATION

第330回 「困り果てて」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

over a barrel 困り果てて
He was over a barrel since he lost the contact details of his customer. (彼は顧客の連絡先をなくしてしまい、困り果てていました。)

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「困り果てて」を英語でover a barrelと言います。barrelは「樽(たる)」のことで、本来の意味は「おぼれた人を(水を吐かせるために)樽の上にのせる」ということです。一方、have someone over a barrelと言った場合、「人を言いなりにする」となります。いずれにせよ、何かと大変な様子を表すフレーズですよね。

さて、barrelは原油の単位として使われるので、経済ニュースでもおなじみです。ただ、辞書を引いてみると意外と説明が多いことに驚かされます。「ランダムハウス英和大辞典」によると、バレルは「1樽の量」なのですが、辞書にはこうも書かれていました:

*米国の場合、多くの液体は31.5ガロン(119リットル)。石油は42ガロン(159リットル)、果実や野菜は105乾量クォート(115リットル)
*英国では36英ガロン(163リットル)

・・・複雑すぎてついでいけません。

せめてもの救い(?)は、barrelの語源がシンプルなこと。bar(横木)で作ったことから生まれた単語です。ちなみにbarricadeもbarrierも同じ語源です。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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