INTERPRETATION

第324回 「くだらない質問」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

softball question くだらない質問
Even though the reporter asked him softball questions, she tried to answer them sincerely.(記者がくだらない質問をしたにも関わらず、彼女は誠実に答えようとしました。)

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「くだらない質問」を英語でsoftball questionと言います。文字通り訳せば「ソフトボールのような質問」となり、主にアメリカで使われる口語フレーズです。初出は1970年代で、Oxford English Dictionary(電子版)によると、1974年に米国オハイオ州の新聞に出てきたそうです。似たような表現でsoftball interview(くだらない面接)があります。なお、上記の例文では「質問が複数出てきた」という前提にしたため、questionは複数形questionsです。

ソフトボールは球技の「ソフトボール」のことですが、これに対して通常の野球のことをhardballと表します。つまり、このフレーズの元は、「ソフトな質問=優しい質問」であり、それが転じて「くだらない質問」となっていったのでした。なお、アメリカの口語表現でhardballと言った場合、「強硬手段」という意味もあります。hardball politicsは「ごり押し政治」、hardball strategyなら「強硬な戦略」という意味です。

ちなみに私は子どものころ、球技がからきしダメでした。チームスポーツでは仲間の足をひたすら引っ張る役割。「今日はボールに触りませんように」と体育の授業前に祈っていたほどでした!

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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