INTERPRETATION

第177回 「わずかな額」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

chicken feed (わずかな額)

The sum might sound like chicken feed to you, but I have spent some time saving the amount!

わずかな額に聞こえるかもしれませんが、その金額を貯金するのに結構かかったんですよ!)

chicken feedは文字通り訳せば「家禽の飼料」ですが、口語表現では「わずかな額」という意味もあります。小銭、はした金のことです。この表現に私が初めて出会ったにはイギリスの週刊誌The Spectatorの読者投稿欄でした。投書欄は世情を表すトピックであふれています。しかも珍しいフレーズにお目にかかることも少なくありません。英語学習にも大いに役立つことから、私は毎回楽しく読んでいます。

chicken feedは上記のようにsound like chicken feed to … といった表現の他、for chicken feed(はした金で、ただ同然で)、pay chicken feed(小銭を払う)などの用法もあります。また、お金関連以外にも「つまらないもの(人)」という意味もあります。初めてこの単語が登場したのは1836年だそうです。

さらに辞書を読み進めたところ、「偽情報」との語義もありました。具体的には「政府が自分の使っている二重スパイや他の政府からのスパイにわざと流す誤った情報」を指すそうです。「偽情報」で思い出すのが、最近よく聞かれるfake news(偽ニュース)。ちなみにfakeはジャズ用語で「即興演奏をする」という意味もあるそうです。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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