INTERPRETATION

第156回 「有能な」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

be on the ball 有能な、機敏な

Our new boss really knows about the industry. He is on the ball.

(私たちの新しい上司は業界についてよく知っています。彼は有能ですね。)

be on the ballは「(人が)有能な、機敏な」という略式表現です。他にも「油断のない」という意味があります。

私がこのフレーズに出会ったのは米軍放送AFNでした。日中のAFNにはDJのおしゃべりあり、ヒット曲ありで聞いていて飽きません。今回ご紹介したような口語表現は、単純な単語の羅列である分、意外と通訳現場で出てくると、全体の文脈から判断せざるを得ないような難易度もあります。ballから「有能」という言葉を連想するのは私の場合、難しかったので、より印象に残った次第です。

辞書でballを引くと熟語やフレーズがたくさん出てきます。たとえば「会話を率先して始める」はget the ball rollingですし、「話を続けていく」はkeep the ball rollingです。「ジーニアス英和辞典」(大修館書店、第5版)にはballの説明として野球のボールやテニスボールの英語表記を紹介しています。baseball、softball、footballという具合です。ところがテニスボールだけはtennis ballと一語ずつ話して表記するのですね。こうしたルールを知るのも学習者向け英語辞典ならではです。

ところでロンドンのグリニッジ天文台には赤い玉(報時球)があり、時報の役目を果たします。この玉を英語ではtime-ballと言います。

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柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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