INTERPRETATION

第153回 「耐える」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

take it on the chin(耐える)

It was my fault. I guess I have to take it on the chin for all the criticism.

(私のせいです。批判全部に耐えることが求められるのでしょうね。)

今回ご紹介するtake it on the chinを初めて耳にしたのはCNNで放映された北朝鮮情勢のニュースでした。4月半ばのことです。take it on the chinは略式表現で、「困難かつ不愉快な状況などにじっと耐える」というニュアンスを持ちます。

chinは辞書を引くと「下あご」と出ていますが、具体的には「あご(jaw)」の先端部分です。chinを使った表現は他にもあり、たとえばKeep your chin up!は「頑張れ!」という意味、一方rub one’s chinは考え事などをする際の動作で、「あごをなでる」です。また、chinは動詞で用いることができ、バイオリンをあごに当てる際にもchinを使います。

ちなみに「あご」のjawも略式表現では「くどくどしゃべる」という動詞で使えます。noseも動詞なら「ゆっくり動かす」です。cheekはイギリス英語の口語で「目上の者に生意気な口をきく」です。こうして一つの単語をきっかけに、名詞なら動詞を、あるいはその逆をという具合に調べてみるのも、私にとっては楽しい作業です。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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