INTERPRETATION

第132回 「動かぬ証拠」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

hard-and-fast evidence 動かぬ証拠

In order to write a good essay, you must use hard-and-fast evidence to support your claim.

(良いレポートを書くためには、動かぬ証拠を用いて自分の主張を裏付けねばなりません。)

hard-and-fast evidenceは「動かぬ証拠」という意味です。この語が誕生したのは19世紀後半で、海洋関連の用語から来ています。船舶がhard-and-fast状態である場合、その船がしっかりと固定されている様子を表します。つまりここで使われているfastは「速い」の意味ではなく、fasten your seat beltのように「留める」の意味から派生しているのですね。

今回この表現をご紹介するにあたり、hardを改めて辞書で引いてみました。中学校で学ぶ単語hardにも色々な意味があることがわかります。しかも私にとってのオドロキは鉛筆の「H」や「HB」がhardおよびhard blackの頭文字であったことでした!今まで何気なく使っていたのにまったく知りませんでしたね。気になったので、鉛筆メーカーのウェブサイトでさらに調べたところ、鉛筆の芯にはHやHB、B以外にFもあると書かれています。Fはfirmの頭文字で、HとHBの中間の濃さおよび硬さを持つのだそうです。

そういえば通訳の勉強をしていたとき、私の恩師が「速記者用ボールペン」が通訳のメモ取りには使いやすいとおっしゃっていました。ボール径が1.0という太字なのですが、インクの出がスムーズなので、どんどんメモをするにはうってつけなのですよね。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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