INTERPRETATION
第96回 「注目を浴びる」
hold court 注目を浴びる、(ファンなどに囲まれて)ちやほやされる
Because of her new fashion, she is holding court at the other side of the room.
新しいファッションのおかげで、彼女は部屋の反対側で注目を浴びています。
courtは「法廷、裁判所」という意味で、hold courtは「法廷を開く」です。一方、会話表現では「注目を浴びる、(ファンなどに囲まれて)ちやほやされる」という意味にもなります。もともとは顧問が国王や女王を取り囲み、助言をしていたというのが語源です。
私がこのフレーズに出会ったのはCNNのスポーツニュースの場においてでした。ある大会で選手が優勝し、多くの注目を集めているという話題です。hold courtというとどうしても裁判を思い描いてしまい、とっさにそのような訳語を口にしたくなったのですが、このようなときこそ全体像をとらえて意味をきちんと訳す必要があります。放送通訳現場はいつも発見の連続です。
ところでcourtの語源はフランス語のcourから来ています。英語のcourtは他にも「中庭」という意味がありますよね。一方、「テニスコート」という意味が初めて出てきたのは16世紀初めだそうです。be on courtは「試合をしている」という意味です。
さて、日本におけるテニス発祥の地はどこでしょう?正解は横浜の山下公園です。横浜が開港したのは1859年。その後、居留地に暮らす英国人などがテニスを始めました。日本で初めてローンテニスのプレーがおこなわれたのが山下公園で、1876年のことです。
courtという単語ひとつから歴史を振り返るのも楽しいですよね。
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