INTERPRETATION

第93回 「ひっきりなしに」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

bumper-to-bumper ひっきりなしに

I’m rather fed up with this bumper-to-bumper airing of same commercials.

同じコマーシャルがひっきりなしに放映されることに若干うんざりしています。

 bumper-to-bumperは辞書を引くと「交通渋滞の」「車が数珠つなぎの」といった意味が出てきます。まさに自分の車の後部バンパーと、後ろを走る車の前バンパーがくっつくような感じから来たフレーズです。「車が数珠つなぎになる」はline up bumper to bumperで、ここではハイフンは入りません。間にハイフンが入るのは形容詞として活用するときです。

 私は放送通訳の早朝シフトに入ることが多く、そのような日は始発の電車で出かけます。起床は午前4時。身支度をしながらAFN(米軍ラジオ局)というAM放送局でアメリカ公共放送のNPRを聞いています。AFNは在日アメリカ軍が制作した番組が流れるのですが、時間帯によってはNPRを転送しているのですね。インタビューやニュース、特集番組など、非常に聞きごたえのあるプログラムになっています。

 今回ご紹介するbumper-to-bumperが出てきたのもNPRの番組内でした。アメリカでの中間選挙に関する話題で、ネガティブキャンペーンについて出演者が語っていたのです。そこでは”Everyone hates the non-stop, bumper-to-bumper airing of campaign commercials”となっていました。交通渋滞だけでなく、「ひっきりなしに」という意味であれば応用できることをこのとき知った次第です。

 英単語やフレーズとの出会いはテキストに限りません。何気なく聞いているラジオ番組や目を通した新聞などから得られることもたくさんあります。新たな出会いがあるからこそ、英語学習は楽しい。そう思いながら私も日々勉強を続けています。

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

END