INTERPRETATION
第240回 「ぴったり、寸分違わず」
to a hair (ぴったり、寸分違わず)
Her estimates were precise to a hair. (彼女の見積もりはぴったりでした。)
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「寸分違わず、ぴったり」を英語では to a hair と言います。私がこの表現に出合ったのはCNNのニュースでした。アメリカ大統領選挙の結果を不満に思ったトランプ氏の言動について、番組内で「票の集計はぴったりだった」という文脈で使われていたものです。
辞書で hair を調べると、髪の毛以外にも「アルパカなどの毛で織った毛織物」「毛状針金」なども出てきます。また、否定文でa hairと言った場合、「わずか、少し」という意味になります。たとえば be not worth a hair であれば「一文の価値もない」、lose a race by a hair は「紙一重の差で競争に負ける」となります。
ところでhairと同じ発音のhareは「野ウサギ」のことです。rabbitよりも体が大きく、耳と後ろ脚が長い種類です。通訳現場でこのような同音の単語が出てくると、私はとても緊張します。同音異義語は意外とあり、たとえばclause / claws, heel / heal, mist / missedなどです。同時通訳の場合、片方の単語しか思い浮かばずに訳してしまうと、わけがわからなくなりますので、いつも苦戦しています。つくづく、語学の勉強というのはずっと続くことを感じさせられます。それがまた楽しいので、この仕事を続けられているのでしょうね。
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