INTERPRETATION

第66回 「ハラハラする」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

nail-biting  ハラハラにする

The match was worth watching. We had so many nail-biting moments.

試合は見ごたえがあったよ。何度もハラハラする瞬間があったからね。

 今回ご紹介するのは「ハラハラする」という形容詞のnail-bitingです。名詞の場合は「爪かみ、爪をかむ癖」という意味になります。また、口語表現では「次に何が起こるか分からない不安」を表します。ランダムハウス英語辞典によれば、この表現が誕生したのは19世紀の終わりだそうです。なお、「爪をかむ癖」は専門用語でonychophagiaと言います。onychoはギリシャ語が語源で「爪」、phagiaは「習慣としてある食物を食べること、むさぼり食うこと」を意味します。英語の医学用語は難解ですが、語源を通じて覚えると記憶に残りやすくなります。辞書を引いたらぜひ言葉の成り立ちにも注目してください。

 nailには「くぎ」「爪」という意味があります。人間の場合は「爪」ですが、「鳥獣のかぎづめ」はclawです。私が愛用する紙版の「ジーニアス英和辞典」(大修館書店)には、こうした類語も詳しく掲載されています。また、「くぎ」の説明として詳しい図とパーツ名も出ています。辞書は未知の知識を私たちの目の前にもたらしてくれます。みなさんも紙の辞書からたくさんの「お楽しみ」を味わってくださいね。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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