INTERPRETATION

第57回 「内情に通じて」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

in the know 内情に通じて

The presenter talked to those in the know to analyse the political situation in that country.

プレゼンターは、その国の政治状況を分析するため、内情に通じた人物に話をしました。

 in the knowは「内情に通じて」という意味です。knowは中学校で学ぶ動詞ですが、辞書の語義をひたすら眺めてみると、最後に「名詞」としての説明が出てきます。know単体で「(情報を)知っている者」という意味があるのです。たとえばa society of the “knows and know-nots”という表現は「『知れるものと知らざる者』の社会」という状況を指します。

 日本語でも「インサイダー取引」という言葉があるように、「インサイダー」という単語はすでにおなじみです。英語でも「内情に詳しい人、消息筋」はinsiderと言います。一方、「内部告発」はwhistle-blowingです。笛をピーッと鳴らす様子が思い描けますよね。

 ところでknowについてもう一つ。日本語の「あのね」という意味を持つyou knowはよく会話でも使われます。しかし、これは口語表現ですので、頻繁に用いるのはあまり好ましくないとされます。そうした微妙なニュアンスも学習者向け英和辞典には出ています。通訳者は「リーダーズ英和辞典」(研究社)という本格的な辞書を用いていますが、私自身は勉強用に大修館書店の「ジーニアス英和辞典」を愛用中です。ニュアンスや文法説明など、豊富に出ていますので重宝しています。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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