INTERPRETATION

第230回 「問題を解決する」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

drain the swamp (問題を解決する)
The company was in a serious situation but the staff did not drain the swamp.  (その会社は深刻な状況に直面していましたが、社員は問題を解決しませんでした。)

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「問題を解決する」は英語でdrain the swampと言います。文字通り訳すと「沼地の排水をする」です。このフレーズが誕生したのは1980年代のこと。マラリアを防ぐために湿地の水を抜くというのが当初の意味でした。しかしその後アメリカでは政治家たちが「問題を解決する」という意味で好んで使うようになったのです。

2016年にトランプ候補が大統領選で勝利を収めた際、氏はこの表現を用いました。「アメリカの政治を抜本的に変える」という意気込みを見せたのです。しかしあれから4年後の今はコロナや人種、貧富の差など、たくさんの課題に直面しています。この11月にどのような大統領選の結果となるのか、要注目です。

ところで日本語に「掻い掘り(かいぼり)」という言葉があります。これは沼や池の水をくみ出して天日に干す作業です。私が住むさいたま市の別所沼では2014年に「かいぼり」作業が行われました。普段は見られない沼の底が見られて、実に興味深い光景でした。なお、最深部まで植物が育っているものを「沼」と呼び、水深が浅いものを「池」、水深が深いものは「湖」と呼ぶのだそうです。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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