INTERPRETATION

第23回 「しぶしぶ受け入れる」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

hold one’s nose しぶしぶ受け入れる

Although he didn’t like the plan,

he held his nose and accepted it.

彼はその計画が好きではなかったものの、しぶしぶ受け入れました。

 今回のフレーズは「しぶしぶ受け入れる」という英文です。hold one’s noseはそのままの意味であれば「臭いので鼻をつまむ」という意味です。これが転じて「うんざりしながら仕方なく受け入れる」という状況も指しています。

 私がこの表現に初めて遭遇したのは放送通訳の現場でした。2011年10月18日に放映されたCBSイブニングニュースの中で、イスラエルとパレスチナの話題が出てきたのです。5年以上パレスチナ側に拘束されていたイスラエル兵が釈放されることになり、その引き換え条件としてイスラエルはパレスチナの受刑者1027人を解放するという内容でした。ただ、イスラエル国民の中にはパレスチナの武力行為によって肉親を失った者も多くいます。その遺族たちは今回の合意をしぶしぶ受け入れたのでした。

 辞書を引くとnoseを使った表現がたくさんあることがわかります。by a nose(わずかな差で)、on the nose(時間通りに)、nose to tail(車が数珠つなぎで)などです。辞書を引いた「ついでに」他の表現に目を向けると、みなさんの語彙も大幅にアップするはずです。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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