INTERPRETATION

第186回 「全面的否定」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

blanket denial (全面的否定)

Although Don was heavily criticized, he made a blanket denial saying there was no evidence. (ドンは激しく批判されたものの、証拠がないとして彼は全面的に否定しました。)

 

今回ご紹介するblanket denialは「全面的否定」という意味です。blanketは「毛布」「毛布で覆う」という意味の他に、形容詞として「総括的な、一律の」という語義があります。たとえばblanket proposal(一括提案)、blanket rules(一般規則)などがその一例です。「全面否定する」は他にもflatly deny、unequivocally deny、categorically denyなどの表現があります。

 

blanketの語源は14世紀ごろにまでさかのぼります。元はフランス語のblanquet(衣服のための白いウール素材)から来ており、その元となったのはやはりフランス語のblanc(白い)でした。「空白の」という意味の英語のblankも同じくこの言葉から来ています。blankとblanketが元をたどれば同じというのが興味深いですよね。

 

ところで上記の例文にcriticize(批判する)という語があります。これは人やものに対して批判するという一般的な語です。一方、condemnは「道徳的に許すことができない」というニュアンスがあり、日本語では「非難する」です。accuseは法律を破ったことに対して非難すること、blameは人が過ちをしたか否かに関して責任を問う非難を意味します。学習者向け英和辞典にはこうした類語が説明されていますので、一つの単語を機に、ぜひそこから色々と調べてみてくださいね。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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