第25回 話題の片づけ、やってみました
最近ベストセラーとなっている近藤麻理恵著「人生がときめく片づけの魔法」(サンマーク出版、2011年)を読みました。ずっと新聞広告で気にはなっていたものの、よくある整理収納関連の書籍かなと思い、手を伸ばさないままでいたのです。ところがいざ読み始めてみると、これまで読んだものとは全く異なるコンセプトで、まさに目からうろこ。早速私も実行したところ、大量のモノを処分することができました。家具に至ってはCDラックとチェストが処分できたほどです。
詳しい内容は本書に譲るとして、今回私が「こんまり」さんこと近藤さんの理念に基づき片付けた結果、どのようなことを感じたか振り返ってみます。
(1)本
「今読んでいない本はおそらくもう読まない」と考え、こんまりさんが言うとおりに「ときめかない本」を処分。未読本もすべて古本店で引き取ってもらいました。思い返してみると、それまで私は未読本を書棚で目にするたびに「早く読まなきゃ。あの本もこの本もまだ読んでいないし」と感じつつ読まずにいたのです。いざたまに取り出してみても、購入当初の勢いを忘れてしまい「はて、何でこの本を買ったんだろう?」と思う始末。今回処分したおかげで「未読本を読めない自分」という無意識の敗北感から解放されました。
(2)食器用水切りかご、スポンジラック
いずれも台所にあるのが当たり前と思っていましたが処分しました。これまでは水切りかごやスポンジラックのステンレス部分に水垢がたまっては「早く掃除しなきゃ」と思わされる日々が続いていたのです。けれどもたわしやスポンジだけでは完璧に落ちず、掃除をしても「未完了感」に襲われていました。
ところでみなさんの家の台所の作業台は平らでしょうか?我が家は一昔前の仕様なので、ステンレスカウンターが平らではなく波型になっています。前に住んでいたマンションも同様だったのですが、実はこのデコボコは水切りにちょうど良いのですね。洗い物をしたらお皿やお鍋などは伏せてこの上に置くと、どんどん水切りができます。
なお、以前は水切りかごに載せたらそのまま自然乾燥させていたのですが、今回の片づけを機に、「洗う→カウンターに伏せる→すぐに拭く」を一気にするようにしました。というのもそれまでは夕食時に使った食器を朝まで自然乾燥させ、朝起きてから拭いて片付けるという流れだったため、朝の貴重な時間を費やさねばならなかったのです。けれども食事のたびに一気に拭いて片付けるところまでやれば、常にすっきりと台所が使えるようになります。これも大きな発見でした。
(3)収納術だけでは根本的な解決法にならない
私自身、整理収納が好きなのでこれまで色々と収納を工夫してきました。空き箱を切って引き出しに押し込んでみたり、ヨコのものをタテに並べ替えてみたりと試すことで、「すっきりした生活」を目指してきたのです。けれどもこんまりさんが述べている通り、やはりモノの数そのものが減らない限り、どんなに収納のノウハウを駆使したところで抜本的な解決にはなりません。だからこそ自分とモノとの関係を見直し、「これを持っていることで自分はときめくか」と自問自答しながら整理することは大切だと思いました。
手元に残すモノこそ私たちに幸せをもたらし、日々の生活にうるおいをあたえてくれるものであるべきだと改めて私は思っています。
本書の中では片づけを行う際、何から手を付けて進めていくかも順序立てて説明されています。こんまりさんは「思い出品は一番最後に」と述べており、私も思い出品以外のものはほぼ分別を終えました。今後は時間を見つけてアルバムや手紙などを片付けようと考えています。
【今週の一冊】
「歌謡曲―時代を彩った歌たち」高護著 岩波新書 2011
先日、作詞家・阿久悠氏の本を読み、作詞という仕事について色々と知る機会があった。氏の仕事ぶり、とりわけ一気に作品を書き上げていく集中力など、非常に参考になった。
そんなことがきっかけとなり、日本の歌謡曲への関心が高まっていた。それで入手したのが本書。私は毎週土曜夕方にNHK-FMで「サタデーワイド第3部U-18ユーガタM塾」という番組を聞いており、私が慣れ親しんだ80年代の歌謡曲がたくさん放送されている。そんなこともあって、著者の本書は大いに読みごたえがあった。
高護氏は1954年生まれ。長年音楽関係に携わっており、その経験が本書の中で繰り広げられる歌謡曲、歌い方、作詞の仕方などの分析に結びついている。J-POPと呼ばれる今の日本の音楽界がいかにして作られたかが分かる一冊。
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