第670回 試行錯誤、大歓迎!
2月も中旬を過ぎましたね。ところで私は最近、「電車内ではあえてスマホを触らない」と決めています。と言うのもここ数年、移動中でもついついスマホを眺めてしまい、読書が全くはかどらなくなったからです。それなのに地元図書館では懲りずに大量の本を取り置き予約してしまい、いつも貸し出しは20冊近く。期限は2週間ですので読み切れません。そこで一念発起して「今年中に100冊読破(斜め読みOK)」を自らに課したのでした。始めて見ると結構楽しいのですよね。先日読んだ齋藤孝先生の本に「読書は自分へのプレゼント」とも書かれており、改めて読書がもたらす幸せと充実を感じています。
さて、今週のタイトルにある「試行錯誤」、これは「自分で決めたルールであっても、どんどん変更して良し」を意味します。具体的に見てみましょう。
私は数か月前から自宅でThe Japan News(読売新聞英字版)を購読し始めました。理由は「通訳トレーニングのため」。日ごろ私は放送通訳がメインなのですが、これでは「英語から日本語」の一方通行になりがちです。そこで「日→英」通訳の力を落とさないためにも、同紙に掲載されている社説を勉強素材にしようと決めたのでした。
The Japan Newsの社説、実にスグレモノです。読売新聞に掲載された日本語社説が、翌日にはもう英訳されているのです。しかも紙面左側に英文、右側にオリジナルの日本語文があります。こちらを用いて日本語文から自分で英作し、掲載されている英文と照合しようと考えたのでした。
社説は毎日2本載っています。当初は頑張って取り組んでいました。でもしばらく経つと息切れしてしまったのですね。理由は「2本分を書き出す大変さ」でした。そこで方針転換。ノートに書くのではなく、口頭で英訳することに。だいぶ楽になりました。
けれどもまたまた疲弊してしまったのです。毎日2本取り組むとなると本腰を入れねばなりません。しかもなかなかの分量!1日さぼり、2日空いてしまい、やがて英字新聞は単にめくるだけと化していきました。
うーん、これではいけない!そこでまたもや改善へ。今度は「音読だけ」にしました。日本語音読+英文音読を2本分です。これなら書かなくて済むので楽です。しかし!!またもやヘロヘロに。それで次は「日本語音読は中止、英文のみ音読」へ。負担は減りました。
・・・と、ここまで書いて、想像力豊かな方はもうお気づきでしょう。このようなスリム化を図ってもなお、息切れし始めたのです。おそらく人間というのは楽をしたい生き物であり、飽きが来てしまう心理があるのでしょうね。
では現在は?
「英文1本のみ音読」で落ち着いています。英文社説1つであれば、5分もあれば済ませられます。ただし、自分なりのルールは設けました。それは、
*丁寧に音読すること
*英文で気になる表現や不明単語が出てきたら、すぐに日本語文を参照すること
この2点です。この基準のお陰で本当に楽になりましたし、楽しくなってきました。
今回の教訓。それは、「これまでの試行錯誤は決して無駄ではない」ということ。欲張ってあれこれ頑張ろうとしても、続かなくなって遠ざかってしまえばあまりにももったいないですよね。私の場合、試行錯誤したおかげで、むしろ細々ではありますが継続可能となりました。今では毎朝この音読、嬉々として取り組んでいます。
・・・でもきっとこれもまたいつか飽きてきてしまうのかもしれません。でも、良いのです。そうなったらまた方法を考えてみる。その創意工夫こそが学習の醍醐味だと感じています。
(2025年2月18日)
【今週の一冊】
「教えて!クラゲのほんと:世界一のクラゲ水族館が答える100の質問」鶴岡市立加茂水族館著、緑書房、2024年
「書籍との出会いは偶然が多い」という旨を何度かここで書いてきました。今回も同じ。読売新聞朝刊1面の下に出ていた書籍広告がきっかけでした。最初にタイトルを見た時の私は「ん?クラゲ?あの、夏に刺されると痛いイキモノ?」ぐらいだったのです。
でも、だからこそ余計興味が沸き上がってきたのですね。早速読んでみたところ、私の中では久しぶりの大ホームラン級書籍となりました!
まず著者名に注目。関東圏に暮らす私にとって「鶴岡市」と言われても一瞬わかりませんでした。この鶴岡市立加茂水族館の旧名は「山形県水族館」です。1930年に設立されるも90年代後半には経営危機に。しかし、サンゴ水槽にクラゲが偶然発生、その評判が良かったことからクラゲに特化した水族館へ転身しました。今ではクラゲ展示種数が世界一となっています。
本書は子ども向けであり、Q&A形式の構成。子どもたちが抱く素朴な疑問満載です。解答もわかりやすいシンプルな文章ばかり。たとえば52ページはこのような感じでした:
「(質問)28 クラゲに脳はあるの?
飼育員さんからの回答: ありません。何も考えていません。」
思わず爆笑してしまいました!このような感じで飼育員さんのユーモアとクラゲへの限りない愛情が本書にはたくさんあるのです。
子ども向けの理系本、大いに楽しめます。おススメです!
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