第659回 「や」と「め」の後は?
大学生になったあたりから「時間管理」「整理術」「ノート術」などに興味を抱くようになりました。様々な本を読み漁り、自分で取り入れられそうなコツだけピックアップし、日常生活で実践。うまく行くこともあれば、途中で頓挫したこともあります。今なお、ネットの「ライフハック」的なサイトを覗いては、あれこれ試しています。
特に重視しているのは、「やることリスト」の作成です。仕事や自分の勉強、通訳や授業準備、家事、日常の雑事など、毎日色々なタスクがありますよね。そうした諸々のことに優先順位をつけないと、時間がいくらあっても足りません。
以前、本コラムで「60分間を45分と15分に分割→45分仕事をしたら15分は宅トレ」と書いたことがあります。
https://www.hicareer.jp/inter/hiyoko/26110.html
この原則、一応は今も続けているのですが、あの時に張り切り過ぎたゆえの疲れなのか、最近の「15分」は宅トレではなく、家事に充てています。それでも、45分机に座り続けると体がなまりますので、このサイクル自体は私に合っていると思っています。
余談ですが、先日読んだ「ブレイン・ルール」(ジョン・メディナ著、小野木明恵訳、NHK出版、2009年)という本に集中力のことが書かれていました。人間の集中力は何と10分だけ!著者は大学での授業を行う際、50分の授業を10分ずつに分割し、それぞれの10分に一つのテーマを盛り込んで指導をしていると述べていました。そう考えると、やはりメリハリをつけることは大事ですよね。
さて、今日のタイトルは「『や』と『め』の後は?」という、意味不明な日本語になっています。これは最近、私が自分自身に言い聞かせている「おまじない的フレーズ」のことです。
日々の生活の中で、何かをやらねばという状況になると、みなさんはどうでしょうか?すぐに取り組むタイプ?それとも「あとで」ということばが脳裏に浮かぶほうでしょうか?自分が好きな作業であれば、深く考えずに即実行できますよね。でも、複雑な作業や苦手なタスクだったら?私の場合、迷わず、
「やだなあ」
「面倒だなあ」
というフレーズが頭に浮かびます。
ただ、やらないわけにはいきませんので、手帳のTO DO LISTに書いておくのですね。たとえば、
□古新聞を紐で縛って、明日、古紙回収に出す
□コートのボタン付け
という具合。とにかく「チェックボックス」付きで書き出して、後ほど時間が出来たら着手。晴れて完成したら☑を入れるという仕組み化でこれまで対処してきました。
けれども!
それでもなかなか進まないことがあるのです。一日の終わりにリストを見直してみても、結局手つかずのまま、ということが。そしてそのまま、翌日の手帳に同じ項目を転記。でも、翌日もまた取り組む機会を逸して、また翌日&以下延々とリピート、という具合が続いていたのです。これが私にとっては大いなるストレスでした。転記し続けるぐらいなら、その時間に取り組めば良いというのは百も承知なのですが。
そこで、視点を変えることにしました。「やだなあ」「面倒だなあ」と思った瞬間、こう言い換えるようにしたのです:
「やろう、今!」
「面と向かって取り組む!」
もうここまで来ると号令のごとく、口に出して即、動くしかありません。でも、「や」と「め」の後の文字を入れ替えるだけで、ストレスがグンと減りました。おそらく「やだなあ」と思うこと自体が、心にネガティブな気持ちをさらに植え付けてしまうのでしょう。面倒に思えることほど、そうした邪念(?)をのさばらせる前にサッサと終わらせれば気分爽快、自己達成感にもつながります。
最近、このようなアプローチで取り組んでいます。「や」と「め」をひたすら意識する毎日です。
(2024年11月26日)
【今週の一冊】
「シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記」斉藤政喜著、神田めぐみ画、山と渓谷社、2024年
かつて幼少期に暮らしていたオランダ。埋立地であるオランダには山がありません。アムステルダムなど北部の街はとにかく見渡す限り真っ平です。自転車王国というのも頷けますが、日本から転居した当時、しばらくすると山が恋しくなりました。幸い南部の街マーストリヒトの方まで行くとようやくドイツの山々が見えてきます。久しぶりの山を見て、「やはり自分は日本人なのだな」と改めて感じた8歳の私でした。
今回ご紹介するテーマは「山小屋」。私自身、登山はまったくしないのですが、たまたま図書館の新刊コーナーに置かれていたこともあり、手に取ってみました。著者の斉藤氏は現役のバックパッカー。イラストを担当した神田氏ともども、全国の山小屋を取材したのがこの一冊です。今の時代、写真での紹介も便利ですが、やはり手書きのイラストには味わいがありますよね。それを堪能できるのが本書です。
これまでの私の山小屋のイメージは、「険しい登山道を経て頂上まで行ってようやく到達できる」というもの。でも、本書で取り上げられている山小屋は自動車でもOKの所もあります。標高数千メートルのような場所は、お手洗いも「バイオトイレ」。一方、交通の便が良い所では、露天風呂なども楽しめます。
建物もユニークで、小屋番(オーナー)のエピソードも読みごたえ大。本書を読んで、山登りがしたくなってきました!
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